2022 Fiscal Year Research-status Report
Differences in teachers' and parents' risk perception of school risks
Project/Area Number |
22K20256
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
満下 健太 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (40962105)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | リスク認知 / 体育的活動 / リスク・コミュニケーション / 小学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は教員と保護者のリスク認知の相違を明らかにすることで,学校のステークホルダー間でのリスク・コミュニケーションを向上するための知見を得るところに目的がある。当初は幅広いリスクを対象領域にする計画であったが,安全対策上の意義が高いと考えられる場面を対象とするように変更した。そこで,学校活動の中でもリスクの高い体育的活動を対象領域として,保護者と教員それぞれ100名程度に対してアンケート調査を実施した。具体的には,ドッジボール・組体操・ハードル走など9種類の体育的活動について,リスクイメージ6項目・教育的意義3項目,リスク認知4項目を尋ね,それらの関係を分析した。Tucker 1モデルでの因子分析の結果,リスクイメージ・教育的意義は3次元(恐ろしさ・制御既知性・教育的意義),リスク認知項目は2次元(リスク性認知・対策必要性)に集約された。各活動が教員と保護者でどう認知が異なるかを分析した結果,教員については,(1)多くの活動でリスク認知の2次元を共に保護者よりも高く評定する,(2)リスク性認知について各活動間の評定の差異が大きい,の2点で特徴があった。また,教員と保護者という立場の違いやリスクイメージ・教育的意義がリスク認知に及ぼす影響を階層的重回帰分析によって調べた結果,立場の違いは恐ろしさ等のリスクイメージに差異が生じる要因となっていたが,リスク認知自体には目立った影響が見られなかった。これらの結果から,教員と保護者で各活動のリスクイメージを一致させていくことがリスク・コミュニケーション上必要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学校安全上意義の高い場面を研究対象とするため,当初の予定を変更して優先的に体育的活動を対象領域として研究を行なった。そのための調査計画変更に伴って進行に若干の遅れが生じ,年度内に成果の学術論文としての取りまとめまでは至らなかった。一方で,調査自体は実施しており,結果として研究目的に対してある程度の知見は得られていることから,(3)の判定とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,2022年度の成果を取りまとめて学術誌上で報告することに取り組む。加えて,体育的活動以外での,学校においてリスクが潜在する様々な場面での研究を展開する。最終的に,これらの研究から得られた知見をまとめて,学校のリスク・コミュニケーションに向けた実践的示唆を討議する。
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Causes of Carryover |
年度内に調査を2件行う予定であったが,調査計画の変更から1件は翌年度に繰り越したため,それに伴って調査委託費としての使用分が翌年度に繰り越しとなった。したがって,次年度使用額分については,調査の実施にかかる費用として使用する計画である。
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