2022 Fiscal Year Research-status Report
子どもの人権を侵害してしまう保育者の潜在意識の可視化
Project/Area Number |
22K20260
|
Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
磯村 正樹 椙山女学園大学, 教育学部, 講師 (20965438)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 子どもの人権 / 保育者の人権意識 / 保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
保育者が子どもの人権を理解し、子どもの人権を尊重した保育を行うことは自明のこととして認識されてきた。しかし、「子どもの意見表明権を大切に」「多様性の尊重」など、子どもの人権の理念を理解していても無意識に子どもの人権を侵害している場面が見られ、理念の理解と保育者の実践とのズレが生じている。本研究の目的は、子どもの人権を理解していても侵害してしまう、その潜在意識を可視化することである。 今年度は、子どもの人権および保育に関する文献、論文の収集を行い、子どもの人権と保育の関連についての知見を整理した。明らかに不適切と捉えられる保育者の関わりの他にも、子どもの人権を尊重していない関わりは多様にあることが明らかになった。一方で、不適切な保育をしないために必要とされる「子どもの人権に関する十分な理解」とは何かという課題も明らかになった。 11月から12月にかけて、幼稚園、保育所、こども園の保育者を対象として、子どもの人権への意識についての質問紙調査を行った。質問項目は、子どもの人権や保育に関する文献および研究代表者の保育経験を基に、保育者・保育研究者の合議によって作成した。それぞれの質問項目について「とても違和感を覚える」「どちらかというと違和感を覚える」「どちらかというと違和感を覚えない」「違和感を覚えない」の4件法で回答を得た。884部配布し、389部の回答を得た(回収率44%)。項目ごとの分析、回答者の保育経験年数による分析を行い、保育者の子どもの人権への意識を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度であるため、質問紙調査によるデータ収集が中心となった。まだ成果を論文等として公表する機会を得られておらず、現在執筆を進めている。成果の公表については課題を残すが、今年度の質問調査の結果については5月の日本保育学会で発表する予定であり、保育学研究に論文として投稿する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、今年度の結果を発表することに加え、保育者へのインタビュー調査を予定している。保育者へインタビューを依頼し、保育者の子どもの人権への意識を質的に捉えることで、子どもの人権を侵害してしまう潜在意識とはなにか解明していく予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の計画から研究方法を変更したことにより、購入物品にも変更が生じたため、次年度使用額が生じた。次年度の調査分析をするにあたり、購入予定である物品や分析ソフトに加え、インタビュー調査の実施に伴いボイスレコーダー等の購入が新たに必要である。
|
Research Products
(1 results)