2023 Fiscal Year Annual Research Report
芳賀矢一が編纂した中等教育の国語教科書に関する基礎的研究
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22K20270
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
船越 亮佑 岩手大学, 教育学部, 准教授 (40964474)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 芳賀矢一 / 中等教育 / 国語教科書 / 古典教育 / 国民教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
芳賀矢一が編纂した中等教育の国語教科書に関する基礎的研究を行った。 近代「国文学」確立の立役者としてよく知られる芳賀矢一であるが、その初期の仕事として、立花銑三郎との共著『国文学読本』がある。この近代最初期の「国文学」選文集は教育界に大きな影響を与え、今日でいう古典教育の基礎を形作った。その古典教育は、国民国家における国民教育とも密接に結びついている。したがって、芳賀が編纂した中等教育の国語教科書を考察することを通して、初期の中等国語科における古典教育及び国民教育の位置づけを跡づけることができると考えられる。 芳賀の仕事と国語科教育界との関わりのうち、中等教育の国語教科書に関しては、研究が進んでいない。また、そもそも国語教科書の歴史研究は、初等教育に比べ中等教育の研究が大幅に立ち遅れている。本研究はそれらの進展に資するものである。 一年目、教科書を中心として研究に必要な資料の調査・収集を進めた。収集した16種の教科書について、その教材採録のあり方の特徴を見出すべく、目次を中心とするデータベースを作成し、各教科書の特徴が次第に見えてきた。また、収集した教科書に対し、芳賀の古典教育論及び国民教育論を結びつけた考察を行うため、芳賀矢一関係図書や教育史関係図書を入手し、考察に役立てた。 最終年度の二年目、前年度の取り組みを継続した後、年度途中より、収集した教科書16種の中から1種を取り上げ、その教科書に対する本格的な考察を行った。その研究成果については、研究期間の終了した二か月後の学会で発表することが、年度の終わりに決まった。
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