2022 Fiscal Year Research-status Report
1人1台の情報端末を活用した授業における学習指導案の様式の再定義
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22K20273
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
八木澤 史子 千葉大学, 教育学部, 助教 (70965342)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 学習指導案 / 1人1台端末 / レビュー / 役割 / 形式 / 児童生徒主体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,1人1台の情報端末を活用した授業における学習指導案の様式を検討するものである。学習指導案の研究は1990年代前後に行われているものの,書籍や研究のレビューにより学習指導案の意義や役割を調査した研究はなく,学習指導案についての実態が正確に把握できていない状況である。教師主体の一斉学習中心の授業から,児童生徒主体の個別最適な学び中心の授業に転換が図られている今,1人1台の情報端末を活用した授業の特徴を記述し共有するための学習指導案の様式を再定義することが本研究の意義である。 第1年次は,2つの取組を行った。1点目は,学習指導案に関連する書籍のレビューである。教員養成学部を擁する国立A大学の附属図書館に所蔵されている書籍を対象に,学習指導案の役割や意義および形式に関連する書籍65冊を抽出した。抽出した書籍の内容を確認し,関連する記述を役割および形式の観点から整理した結果,学習指導案の役割や形式は,教師の指導に関連した役割の強調や教師の教授行動の視点からの項目が多いことが示唆された。 2点目は,クラウドを活用した学習指導案の検討作業に関する実践である。若手教師が作成した学習指導案を中堅教師と一緒にクラウド上で検討する実践を行った。実践後に,クラウドを活用した場合とそうでない場合に関する意識を尋ねたところ,クラウドを活用しない従来の紙で行う学習指導案の検討作業では,時間がかかる点,話題や指摘事項が多岐にわたる点などが課題として挙げられた。また,学習指導案の形式が異なることによるやり取りの難しさも課題として挙げられており,クラウドでの検討作業も踏まえた学習指導案の形式を検討することの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部,コロナ禍による制約のため,調査結果の発表を見送ったが,2022年度に予定していた学習指導案の様式,記載項目と順序,記述内容についての調査,および学習指導案を作成する際の困難点の明確化については,計画通り調査することができた。第2年次に向けて,学習指導案の役割や形式,および作成に関する困難感などの実態把握ができたことは,順調な進展であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
第1年次は,これまでの学習指導案に関する実態について調査した。今後は,児童生徒主体の個別最適な学びに取り組んでいる授業に焦点を当て,その授業における学習指導案の形式や役割の実態,および教師の授業観や児童観等と学習指導案の形式との関連などについて検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度は,予定していた県外への出張が,天候不良のため中止となったりコロナ禍のためオンラインになったり等で実施できず,旅費に関する予算を執行できなかった。昨年度分の助成金については,昨年度実施できなかった学校への視察や対面で行われる学会への参加等で使用する予定である。
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