2023 Fiscal Year Research-status Report
1950年代における就学援助制度の成立過程に関する歴史実証的研究
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22K20275
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小長井 晶子 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 助教 (30950927)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 就学奨励 / 就学援助 / 厚生省 / 文部省 / 教科書無償 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、前年度に引き続き、【分析課題1】国の教育行政と福祉行政が連携できなかった要因の解明に取り組んだ。就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律(昭和31年法律第40号)は、新入学児童に対する普遍主義的教科書給与に関する法律を廃止して成立したものであったため、戦後の就学奨励制度の成立の一環として、1950年代における教科書無償政策も検討する必要があると考えた。そのため、1950年代における文部省の教科書無償に関する政策について検討し、論文として公表した(「1950年代における文部省の義務教育無償制拡大政策に関する研究―教科書政策を中心に―」『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(教育科学)』70(1)、pp.13-25)。 次いで、本研究の目的である1950年代の就学援助制度の成立過程を教育扶助との関係から明らかにするため、1951年に文部省が構想した義務教育就学奨励法案をめぐる文部省と厚生省の政策的対立を検討し、論文として公表した「就学奨励構想をめぐる文部省と厚生省の政策的対立―1951 年の義務教育就学奨励法構想をめぐって―」『日本教育行政学会年報』 (49)、pp.106-125)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の2つ目の分析課題である「地方で行われた就学奨励の実態の解明」のための研究について、公文書館所蔵の資料についても審査に時間がかかった等の事情もあり、当初の予定よりも資料収集に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で資料収集が大体できた県については、まずは収集した資料を整理し、その「地方で行われた就学奨励の実態」についてまとめ、成果として公表できるように進めていきたい。
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Causes of Carryover |
2023年度は当初の予定通り資料収集に行くことができたが、特に初年度は予定通りの資料収集ができておらず、その分の資料収集が2023年度にできたわけではなかったため、次年度使用額が生じた。今年度は初年度にする予定であった資料収集を、特に神戸と鳥取、長野で行うため、主に旅費等として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)