2023 Fiscal Year Annual Research Report
「教員不足」期における民間企業採用早期化の影響に関する実証的研究
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22K20282
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
前田 麦穂 國學院大學, 人間開発学部, 助教 (10963316)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 教員採用 / 教員不足 / 就職活動 / 早期化 / 大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の研究成果は以下の5点である。 (1)内閣府が実施した大学生の就職活動時期に関する質問紙調査の個票データの分析を行い、教員志願者の周辺層(他職との条件比較の上で教職を選択する者)の学生がどのように教職選択/回避を行っているのかを、民間企業等の就職・採用活動時期に着目して分析した。その結果、①2016年調査(2017年春卒業の大学生向け採用)以降、教育実習を履修した大学生の内々定獲得時期は早期化しており、教員採用1次試験の実施される7月以前に、多くの学生が最初の内々定を獲得するようになった。②最初の内々定獲得が7月以前であることは教職志望に負の効果を与えているが、同時に進路選択における学生の選好も教職志望に影響していた(「残業が少なく、休暇が取れるなどのWLB 」「女性が活躍できる」「職場の雰囲気が良さそう」を重視する学生は教職を選択しない傾向にあった)。この研究成果は、日本教育社会学会第75回大会(2023年9月9日)にて報告した。 (2)以上の分析結果をリサーチペーパーとしてまとめ、CSRDA Discussion Paper Seriesから刊行した(2023年12月25日)。 (3)民間企業の採用活動早期化と連動して進行してきた教員採用「早期化」政策について、1960年代から現在までの政策文書・刊行物等の資料をもとに政策過程分析を行い、日本教育学会第82回大会にて報告した(2023年8月24日)。 (4)以上の分析結果を論文としてまとめ、日本教育学会編『教育学研究』に投稿した。査読を経て条件付き掲載という評価を得ており、掲載に向けて修正中である(2024年4月現在)。 (5)教員採用「早期化」の政策形成過程について、雑誌『教職課程』(協同出版)に寄稿した(2023年10月)。
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