2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the mechanism in the color appearance of small-field stimulus on chromatic surroundings
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22K20317
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
兼松 圭 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (40966272)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 色覚 / 空間視 / 錯視 / 錐体 |
Outline of Annual Research Achievements |
S錐体不在領域の色知覚に周辺領域がどのように影響するかを検討した(基盤研究(A)21H04424との連携において調査).心理物理実験により,小さい中央刺激の近接に無彩色領域と遠方にS錐体色の周辺領域を配置したとき,遠方領域からの色が中央刺激の色知覚に影響することを発見した.遠方の周辺領域はS錐体がある網膜領域をカバーしていたため,中心窩外にあるS錐体情報が中心窩内の色知覚に影響する先行研究と同じ傾向を示す.色変化量は中央刺激の色に依存しており,L/M錐体色コントラストがない灰色の中央刺激では有意な色変化はなかった.一方で,L/M錐体色コントラストのあるレッドとシアン色の中央刺激では遠隔周辺色の補色が誘導する色対比が生じた.この依存性は,すでに知らている空間的な色誘導モデルによる色変化だけでは説明できず,中心窩領域のFilling inが色変化を消失させる可能性を示した. さらに,近接周辺と遠方周辺をぼかした場合にどのような中央刺激の色知覚が生じるか調査した.このぼかした周辺領域はグレア錯視のパターンと同様なため,まぶしさや明るさ感の知覚メカニズムが関与すると考え,中央刺激の色ではなく輝度を変えて主観的な色知覚を求める心理実験を実施した.結果は,中央刺激が明るくなると周辺の色に似て見える色同化が生じた.さらに,この色同化量は周辺領域をぼかさなかった条件より大きかった.この現象も空間的な色誘導モデルだけでは説明が難しく,明るさ感と相互作用する色知覚メカニズムや質感知覚などの比較的高次な働きが関与する可能性がある. 本年度は上記の2つの調査に加え,国内学会で1件,国内研究会で1件の研究発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に必要な基礎的な実験で,期待したどおりS錐体不在領域の色知覚特性を観察できた.追加の実験で副次的に新たな現象と思われる錯視も観察できた.この現象の調査のため当初の計画を変更しているものの,遅れているというほどではない.
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Strategy for Future Research Activity |
特に変更予定はない.結果を論文化するため,実験をさらに実施する予定である.
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Causes of Carryover |
当初予定していた装置とは別の機器を購入し,当初予定していた被験者数と学会参加をやめたため.次年度使用額はこれから実施予定の実験の謝金や論文出版費にあてる.
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