2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K20336
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
勝呂 剛志 京都大学, 数理解析研究所, 研究員 (20965157)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2023-03-31
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Keywords | Keller-Segel 系 / 移流拡散方程式 / 函数不等式 / 最良定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に実施した研究の成果として、走化性粘菌の運動を記述するKeller-Segel系の単純化である移流拡散方程式の初期値問題の解の空間局所的な振る舞いを研究した。この方程式系は2本の偏微分方程式からなる非線形偏微分方程式系であり、第二式は楕円型偏微分方程式で与えられる。そのため、空間遠方における解の振る舞いが解の空間局所的な性質に影響を与える非局所的効果が現れる。そこで、函数の局所的な振る舞いと空間遠方における振る舞いを異なるLebesgue空間の指数で捉えることができるアマルガム空間における初期値問題の適切性を示した。これにより、第二式の解のポテンシャルに対して、初期値に課す適切な空間遠方における減衰度の予想が得られた。また、解の空間局所的な振る舞いの研究は困難となるが、小川卓克氏と和久井洋司氏との共同研究により、函数列のコンパクト性に基づいた形状分解定理を適用することで、Hardy-Littlewood-Sobolevの不等式の最良定数を用いることで、爆発する解の局所的な積分量の下からの評価が得られた。一般に有界な函数列を考えた際、平行移動要素や尺度要素により、コンパクト性が欠如することがあるが、ここでは、方程式に対応するエントロピーの有界性を用いることで、強収束先と期待される函数列のプロファイルを取り出すことができた。この手法は、可積分函数からなる函数空間や確率測度空間上での変分問題においても適用可能であり、Keller-Segel系やBoltzmann方程式への応用が期待される。
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