2022 Fiscal Year Research-status Report
グラフの構造的理論と彩色理論が交差するフロンティアの開拓
Project/Area Number |
22K20343
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
林 興養 中央大学, 理工学部, 助教 (40963559)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | グラフ / 彩色 / マイナー / 細分 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造的グラフ理論において, 四色問題を拡張したHadwiger予想やHajos予想は, グラフの大域的パラメータである染色数がグラフの部分構造へ与える直接的な影響を問う重要な未解決問題である. 特に, Hajos予想は, 5頂点完全グラフの細分を含まないグラフが4彩色可能であることを主張する難問であり, 特定の細分を禁止部分グラフとしてもつグラフ構造の理解が鍵となる. その重要な部分問題の一つが, 指定した4頂点を分岐点とする細分の存在を問う「4頂点上の根付き細分問題」である. 4頂点単純グラフの根付き細分に対する構造定理として, 入力のグラフが6連結であることを仮定した場合の成果を, Japanese Conference on Combinatorics and its Applications(離散数学とその応用研究集会)2022にて発表した. この成果は, この分野における最先端の研究であるMcCarty et al. (2020)の拡張となっている. また, 4連結を仮定したグラフにおいて, 5頂点完全グラフの部分グラフに同相な根付き細分の存在を保証する構造定理を得た. その証明は, 根付きグラフマイナーや2パス定理で利用されるtripodと呼ばれる構造を利用した構成的なものである. 本結果により, Hajosの彩色予想の位数最小反例の連結度を上げる議論がより単純な部分問題に帰着された. 本結果をまとめた論文を査読付き論文誌に投稿した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの根付き細分に関する研究では, 高い連結度やグラフ全体の平面性を仮定するものが多く, 実際の彩色予想に対して直接利用できる結果はほとんどなかったが, 本研究では, より弱い仮定のもと, 4頂点上の根付き細分を構成することに成功した. また, 当該内容を論文にまとめて査読付き論文誌に投稿中であり, 想定通りの進行である.
|
Strategy for Future Research Activity |
単純とは限らないグラフの根付き細分問題は, Hajosの彩色予想の解決には避けては通れない部分問題である一方で, その具体的な構造定理はほとんど知られていない. この種の問題について, まずは高い連結度を仮定した状況で構造定理を与えることが一つの方向性として考えられる.
|
Causes of Carryover |
オンラインまたはハイブリッド実施の学会が少なくなく, 関連する旅費や学会参加費が当初の予定を大幅に下回った. 次年度は, 対面参加の学会も増えることが予想されるため, 必要な旅費等を支出していく予定である. また, 査読付き学術誌に採択された論文を広く公表するために, オープンアクセス化の費用としても利用する.
|