2023 Fiscal Year Annual Research Report
グラフの構造的理論と彩色理論が交差するフロンティアの開拓
Project/Area Number |
22K20343
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 興養 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (40963559)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | グラフ / 彩色 / 細分・マイナー / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
指定された二つの頂点対を結ぶ点素パスが存在しないようなグラフの構造は, 2パス定理(Thomassen, Seymour, Shiloach 1980)によって, 平面性という条件によって特徴づけられることが知られている. この2パス定理の拡張として, 指定した4点を根とするグラフ細分であってK5の部分グラフに同相なものを得るための構造定理を示した. これにより, Hajosの彩色予想の最小反例の連結度を上げる議論が単純化された. 行列スケーリング問題に対する古典的なSinkhornのアルゴリズムによって, 二部グラフの完全マッチングの存在性を多項式時間で判定することができることは, Linial--Samorodnitsky--Wigderson (2000)の成果によって知られていたが, 非存在性の証拠となるHall blokerと呼ばれる頂点部分集合を見つけられるかどうかは不明であった. これに対し, Sinkhornのアルゴリズムが同じ計算量でHall blokerを計算することを明らかにした(平井広志氏と坂部圭哉氏との共同研究). その成果をまとめた論文は Mathematics of Operations Research 誌に採択された. modular束における二つのflag(極大鎖)が生成する部分束が分配束をなすという事実は, その分配束が, flagがなすグラフにおける最短パスの和集合と対応するものとして深く理解されている. これを拡張し, semi-modular束の場合では, 二つのflagのmodular凸包から一意に定まるantimatroidが, flagがなすグラフにおける最短パスの和集合と対応することを示した(平井広志氏との共同研究). その成果をまとめた論文は Order 誌に採択された.
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