2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K20344
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中島 秀太 明治大学, 理工学部, 専任講師 (70962893)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | KPZ方程式 / Frogモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
Stefan Junk氏との共同研究では、3次元以上の次元において、離散化されたKardar-Parisi-Zhang (KPZ) 方程式と離散化された確率熱方程式 (SHE) との関連性を明らかにし、特に弱秩序領域でのこれらの方程式の振る舞いに焦点を当てた。主結果では、特定のスケーリングの下で、離散化されたSHEとKPZ方程式のゆらぎが等価であり、解が存在する場合、両方程式の解が同じ挙動に収束することを明らかにした。これは、これらの方程式間の深い関係を示している。これら二つの方程式のゆらぎの等価性を証明することにより、ランダム環境内の方向付きポリマーの振る舞いに関する新たな理解が得られた。この研究は、複雑な物理現象を理解する上での数学的解析の役割と重要性を示している。
また、Van Can Hao氏とNaoki Kubota氏との共同研究では、1次元Frogモデルと呼ばれる化学反応系のモデルの大偏差原理の研究を行った。特に大偏差原理で重要な対象物となるレート関数の具体的な式を与えた。特に、レート関数がブラウン運動を用いて定義される定数を係数に持つような平方根関数で与えられることがわかった。先行研究では大偏差原理のスピードの評価が与えられていたが、その評価を精密化し具体的な描像も与えた点で大きな進展であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
KPZ方程式の弱秩序領域での解の構成は、研究計画に記述した重要な問題である。本研究では、弱秩序領域におけるKPZ方程式の解の構成が確率熱方程式の問題に帰着できるという点で、当初の予定を超える成果を得られたと考えられる。また、1次元Frogモデルの大偏差原理は長年にわたり取り組んできた問題であり、その解決は意義深いと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究でKPZ方程式の弱秩序領域での解の構成が確率熱方程式の解の構成に帰着できることがわかった。したがって次の問題として、確率熱方程式の弱秩序領域での解の構成が重要となる。これには方向付きポリマーの分配関数の末尾確率のより正確な評価が必要となる。したがって、分配関数のより正確な評価を与えそれに従って確率熱方程式の解の構成に取り組む。
Frogモデルの大偏差原理に関して、Infection modelとActivated Random Walkという2つの一般化されたモデルが存在する。これらのモデルにおいては、一般の条件下での大数の法則が未解決の問題である。今回得られた手法や概念がこれらのモデルに対しても有効であるかどうかを調査することが、次の研究課題となる。
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Causes of Carryover |
海外に滞在したとき旅費負担を先方がしてくれたため、使用額が少なくなった。次年度は海外の研究集会の参加の旅費に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)