2023 Fiscal Year Annual Research Report
Optimization of electronic structure in eco-friendly and low-cost CTS-system thin film solar cell
Project/Area Number |
22K20355
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
金井 綾香 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (90960849)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 硫化物 / 薄膜 / 半導体 / 化合物太陽電池 / 伝導帯傾斜構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではCTS系太陽電池において新規電子輸送構造による高効率太陽電池を実現するために、Ge/(Ge+Sn)組成比(以後、x比)を変化させることにより、容易に伝導帯下端のエネルギー位置が制御できるCu2(Sn1-xGex)S3 (CTGS)固溶体に着目した。本研究における最終年度はCTGS薄膜の成長条件や各組成比の違いがCTGS薄膜の電気特性やモフォロジーにどのような影響を与えるのかを中心に調査を行った。具体的な成果を以下に記す。
(1) Cu/Sn-S積層前駆体を硫黄とともに硫化してCTGS薄膜を得る成膜方法ではx > 0.2の条件では剥離や異相が生じるためにx比が0.0-0.2の領域でのみでしか変化させることが出来なかった。一方、最初にCTS薄膜を成膜し、後ほどGeS蒸気中で再度硫化処理を行うことで内部にGe元素を拡散して成膜したCTGS薄膜は、x比を0.0-0.7まで幅広い組成を持つCTGS薄膜を得られることが分かった。また、成膜法の違いにより薄膜の表面粗さにも依存することが明らかになった。 (2) Cu/Sn > 2.0の組成を持つCTGS薄膜の場合、Hall測定よりCu/Sn比およびS/cation比が多少変化してもホール移動度はほぼ変化しないことが分かった。また同様にS/cation 比の変化に対してもキャリア濃度に依存性は見られなかった。一方、Cu/Sn比の変化またはx比の変化によりキャリア濃度は若干変化することが示唆された。しかし、電気特性と固有欠陥などとの関連性までは明らかにすることが出来なかったため、更なる実験が必要であることも示された。
以上を踏まえ、(1)および(2)の成果は本研究の目的である組成傾斜構造を施したCTGS薄膜太陽電池を実現する際に有用な知見となることが期待される。
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