2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規現象探索に向けた「電子型強誘電体」の単一ドメイン電気磁気効果測定
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22K20361
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
永田 知子 日本大学, 理工学部, 助教 (00733065)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 電気抵抗スイッチング / 電子強誘電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電気分極の磁場応答および磁化の電場応答の観測を目的として開始した。電気分極の磁場応答観察に先立ち、基本的な電気測定として直流電気測定を行ったところ、これまでに報告されていた非線形電気伝導に加え、新しい抵抗変化が観測された。これまでに報告されていた非線形電気伝導は印加する電場または流す電流が大きくなるほど抵抗が小さくなるものであり、外部電場または電流が存在する場合のみ観測されるものであった。これに対し、今回観測された現象は外部電場や電流を取り去っても保存されるスイッチング現象であった。本現象が電気分極に関係している可能性もあると予想し、電気分極の磁場応答を調べる前に無磁場での電気特性をより詳細に調べる必要があると判断した。そこで、研究期間中は主に電気抵抗のスイッチングについて調べた。 通常の電気抵抗スイッチングは高抵抗状態(High Resistance State; HRS)と低抵抗状態(Low Resistance State; LRS)の2種類の抵抗状態を行き来するものであるが、本研究では3種類の抵抗状態を観測した。多段階の抵抗スイッチングは、ReRAMに応用すれば0,1の2値でなく多値の記憶メモリとなる。しかも、本現象のメカニズムは酸化物によく見られる酸素原子の移動によるものでなく、多段階の電気分極反転に起因するものである可能性が高いことを見出した。本物質の電気分極反転はイオン変位を伴わない電子移動のみによって実現することもあわせると、多値というアドバンテージに加え、高速・低消費エネルギー・長寿命という利点も持つ革新的な記憶デバイスへの応用が期待できる。
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Research Products
(4 results)