2023 Fiscal Year Research-status Report
Heavy right-handed neutrino search through gravitational waves from hybrid topological defects
Project/Area Number |
22K20365
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
榊原 由貴 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (10804510)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 位相欠陥 / 大統一理論 / 宇宙ひも / ドメイン壁 / 大規模シミュレーション / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙ひもを境界に持つドメイン壁のようなハイブリッド位相欠陥は、Dパリティなどの離散対称性を経由する大統一理論に普遍的に現れる。しかし、このような多段階の自発的対称に基づくハイブリッド位相欠陥の形成や形態、現在の観測との整合性について、これまで詳しく知られていなかった。我々は、そのような ハイブリッド位相欠陥をシミュレーションにより再現し、位相欠陥のエネルギー密度や重力波などの情報を取り出し、離散対称性を経由する標準模型を超える理論の検証を目指している。我々は宇宙ひもを境界に持つドメイン壁を再現するための最もシンプルなモデルとして、異なるグローバルU(1)電荷を持つ2つの複素スカラー場が相互作用する系に着目してきた。 1. 我々のモデルは、その作用の形からアクシオン暗黒物質モデルの拡張とみなすことができる。本研究では、複素スカラー場間の強さによらずドメイン壁が境界を持つことからドメイン壁問題が生じないことを間接的に示した。 2. 我々のモデルと理論構造がよく似たクロックワークアクシオンモデルでは、予言される暗黒物質量が少なく、重力波のエネルギー密度が観測可能な程大きくないという観測的困難がある。一方、我々のモデルでは、複素スカラー場間でエネルギースケールに階層性があることにより、ドメイン壁問題を回避しつつ、暗黒物質量、観測可能な重力波のエネルギー密度を予言できる余地があることを明らかにした。 3. 我々のモデルの2次元シミュレーションを行った結果、2枚の互いに異なる”宇宙ひもを境界に持つドメイン壁”が宇宙ひもの乗り換えやドメイン壁の組み換えを起こし、効果的に消滅できる可能性があることを示した。3次元シミュレーションにより、“宇宙ひもを境界に持つドメイン壁”が、円筒形状を取るのに加え、メビウス帯形状を取ることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度に構築した宇宙論的シミュレーションコードを改良し、MPI並列化の実装、3次元化、および、プロトタイプの構築を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
名古屋大学の大型計算機「不老」でシミュレーションの大規模化・長時間計算化を行い、ドメイン壁ネットワークがスケーリングに従うのかを明らかにする。更に、ハイブリッド位相欠陥由来の擬南部ゴールドストンボソンや重力波の現在のエネルギー密度およびスペクトルを見積もることで、我々のモデルで暗黒物質を説明しながら、ハイブリッド位相欠陥由来の重力波が観測可能であるかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
1. 本研究の成果発信のため、論文投稿と研究会発表を予定している。数値計算に関する助言を得るため、日本シミュレーション学会での講演・意見交換を予定している。 2. 本研究推進のための研究会を、2024年度に主催する。本研究関連分野の招待講演者の旅費・会場費などを支出する。 3. 3次元シミュレーションの計算規模を拡大するため、名古屋大学大型計算機「不老」の使用料の増加が見込まれる。
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