2022 Fiscal Year Research-status Report
Origin of fast radio bursts from multi-wavelength and multi-time domain
Project/Area Number |
22K20366
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 知己 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (60963022)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 高速電波バースト / マグネター / 中性子星 / 突発天体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、銀河系内のマグネターから観測された、X線ショートバーストと高速電波バーストの同時放射に関する理論的な研究を行った。この天体現象では、通常観測されるよりエネルギーの高い80keV程度のハードなX線ショートバーストに付随して、高速電波バーストが観測された。ハードなX線ショートバーストを説明するモデルの1つに、磁力線に沿って膨張するファイアボールモデルがある。この磁力線に沿って膨張するファイアボールモデルをかつてなく詳細に調べ、解析的なモデルを構築した。具体的には、マグネターの強磁場効果、マグネター表面からのバリオンローディング、磁力線垂直方向への光子の拡散、サイクロトロン共鳴による輻射加速の効果を詳細に入れてモデル化し、以下のことを明らかにした。(1)ファイアボールに含まれるバリオンの量と、アウトフローの運動学的エネルギーの関係、(2)磁力線垂直方向への光子の拡散が重要となるような、バリオンの量やファイアボールの初期サイズ、(3)光学的に薄くなった領域でのサイクロトロン共鳴散乱による輻射加速が、アウトフローの運動学的光度をどれだけ増大させるか、(4)アウトフローの運動学的エネルギーの一部が高速電波バーストに転換されるという仮定すると、アウトフローに含まれるバリオンの量に下限がつくこと。特に(3)のサイクロトロン共鳴散乱による輻射加速は、これまで考えられていなかった効果であるが、この効果によってアウトフローの運動学的エネルギーが桁で増大しうることが明らかになった。また、サイクロトロン共鳴散乱による輻射加速を、数値計算によって詳細に研究している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膨張するファイアボールモデルの解析的なモデリングが完了したため。 現在は(3)のサイクロトロン共鳴散乱による輻射加速を計算するための計算コードを開発しており、時間はかかっているが概ね当初の予想通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
(3)のサイクロトロン共鳴散乱による輻射加速の効果を数値計算で明らかにする。この計算はアウトフローの運動学的エネルギーを決定するのに重要である。アウトフローの運動学的エネルギーが高いと、高速電波バーストの後に多波長で残光放射が起こる可能性があり、多波長・多時間軸での理論的予言に重要となる。また、高速電波バーストと同時に放射されうるX線のスペクトルを決定するのにも重要となる。
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Causes of Carryover |
参加予定だった国際研究会の開催が、科研費を使用できる時期よりも早かったので参加できなかった。もう一つの国際研究会にも諸事情で参加できなかったため。
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Research Products
(5 results)