2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K20368
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
板橋 浩介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 量子場計測システム国際拠点, 研究員 (70966499)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | nnΛ / HKS / HRS / JLab |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、存在が確立されていない中性原子核(nnΛ)について研究を行っており、アメリカのJefferson Lab (JLab)で計画中の次世代nnΛ探索実験でnnΛ状態の理解を試みる。主な研究内容は、(1)先行実験データを用いたnnΛ構造の理解と(2)高統計nnΛ測定実験のデザイン構築に分類される。 (1)nnΛ構造の解明 2018年にJLabで行われたnnΛ探索実験ではnnΛの収量が不十分であったことからその存在を明らかにすることはできなかったが、同時に観測されたΛ自由(Λ-QF)分布からΛと中性子間の相互作用の情報を明らかにし、nnΛ構造の理解を深めた。nnΛは三体系であり、それぞれの相互作用が複雑に絡み合う。そのため、これらの相互作用を本予算で購入した解析用PCでシミュレーションを行い、実験値と比較することによりΛn相互作用に大きな制約を与えることに成功した。2022年7月には国際学会(HYP2022)でこの研究成果を発表し、proceedingsにも投稿した。 高統計でのnnΛ測定実験デザイン 一般的に、ある粒子の状態(ピーク中心値が明らかでない場合)を立証するためにはピークの誤差(σ)に対し、5σ以上のピークの有意性を示す必要がある。2018年にJLabで行われた先行実験ではnnΛと思われる構造を確認できたが、十分なピークの有意性が無かったため nnΛの発見には至らなかった(図2)。5σ以上のピークの有意性を観測するためには、統計誤差を小さくする(nnΛの収量を増やす)ことが重要となる。そこで、先行実験でK^+の測定に使用したスペクトロメータ(HRS)の2倍以上の運動量アクセプタンスを持つHKSスペクトロメータ(±10%)を使用した実験をデザインした。HRS-HKSは初めての試みとなるため、これらのシミュレーション環境の構築を行い、nnΛの収量見積もりを行った。
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Research Products
(1 results)