2023 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of cometary material in primitive meteorites based on micro-area noble gas isotope imaging
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22K20376
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
小長谷 智哉 北海道大学, 理学研究院, 博士研究員 (40963757)
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| Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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| Keywords | 同位体ナノスコープ / ヘリウム / CRコンドライト / 太陽風 / 前主系列星期太陽 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は始原的なCRコンドライト隕石中のHeに富む物質の岩石鉱物学的特徴を明らかにすることである。令和5年度は前年度に作成したMIL090657隕石の厚片試料に対して同位体ナノスコープ（LIMAS）を用いた微小領域同位体イメージングを実施した。その結果、細粒マトリクス部からHe-4に富む大きさ約10μmの物質を発見した。本物質に対して走査電子顕微鏡観察および透過電子顕微鏡観察を行い、岩石鉱物学的特徴を調べた。
この物質は主に数十nmの硫化鉄微結晶からなる多孔質の集合体で構成されていた。集合体にはマグネタイトおよびNiに富む硫化物の微結晶も含まれていた。集合体の外縁付近には最大2μmのシュライバーサイトが点在し、更に外側には最大3μmの自形の硫化鉄が物質を囲うように存在していた。He-4はシュライバーサイトに濃集しており、微結晶集合体や自形硫化鉄からはほとんど検出されなかった。2μmのシュライバーサイトに対して高空間分解能同位体イメージングを実施したところ、He-4は内部に均一に分布していることが明らかになった。高濃度かつ均一なHe-4分布は、シュライバーサイトが1MeV以上のエネルギーを持つ大量の太陽高エネルギー粒子に曝されたことを示唆する。MIL090657隕石全岩の希ガス同位体組成には太陽風希ガスの寄与が認められないことから、Heの獲得は初期太陽系における母天体集積以前の可能性が高い。本発見は前主系列星期の太陽が現在と比べて非常に活動的だった証拠であると考えられる。なお、He脱ガス温度の違いからシュライバーサイトは研究開始時の狙いであった彗星物質とは異なる可能性が高い。
本研究では微小領域希ガス同位体イメージングと電子顕微鏡観察を組み合わせた研究手法を確立した。今後分析対象を他の始原的隕石に広げることで初期太陽活動を記録した物質の更なる発見につながると期待される。
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