2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K20385
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤原 泰 神戸大学, 海事科学研究科, 助教 (60963569)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 波浪 / 大気海洋相互作用 / 数値シミュレーション / 境界層乱流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、本研究の基盤となる大気・海洋結合波解像数値モデルの開発に取り組んだ。まず、境界追従座標系に基づく離散化のもと気液2相流のNavier-Stokes方程式を解く定式化を構築した。その中で、圧力変数を従来の通り格子中心に配置するだけでなく、気液境界面にも未知変数として設定することで、境界面変位の運動学的接続条件が高精度に満たされるような工夫を行った。考案した計算スキームの有効性を検証するために、開発が容易なインタプリタ言語でプロトタイプモデルを構築し、理論的に振る舞いがわかっているケースを用いたベンチマーク試験を行った。その結果、界面重力波・Kelvin-Helmholtz不安定の線形分散関係や、風波発達の理論的説明として有力視されているMilesの不安定機構が、リーズナブルな時空間解像度で高精度に再現されることを確認した。これは、境界追従座標の採用と、圧力解法における運動学的接続条件の要求によって、比較的粗い空間解像度でも空気と水の分布の数値的拡散が抑えられたためと考えられる。 プロトタイプモデルで計算スキームの有効性が確認されたことから、コンパイラ言語を用いた本番モデルの構築を開始し、おおむね完成までこぎつけた。その中で、大気・海洋結合による大気乱流への影響を明快にするために、下端境界条件として波運動を与える大気側単体の波解像数値計算の設定も行えるようなモデルにするという方針を立て、定式化開発・実装を行った。これによって、大気・海洋運動の双方向相互作用の効果の有無を切り替えた対照実験が行えるほか、必要に応じて海洋側の運動を計算するコストを削減でき、より多様な数値シミュレーションが行えるようになる。 上記の成果は、随時国内の研究集会・学会で報告を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は本年度中の大気・海洋結合モデルの完成を予定していた。コンパイラ言語による本番モデルの構築は最終的な完成にまでは至っていないが、大気・海洋結合に加えて大気単体の波解像数値計算を行える機能を追加した。これによって行える研究の幅が大きく広がるため、トータルでは当初予定よりも研究進捗はあったと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず開発中の数値モデルについて、デバッグ・性能評価を行い完成させる。性能評価にあたっては解析解のある問題に加えて、大気側のみの乱流数値計算については限られた設定で先行研究があるので、その追試を行う。数値モデルの性能が確認でき次第、波の存在下での運動量輸送の数値計算を開始する。比較的シンプルな設定に注目し、波の位相速度(波齢)の大小、波形勾配の大小を変化させ、大気・海洋間の運動量輸送がどう変化するのかに注目した計算を行う。
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Causes of Carryover |
数件の国内出張において、旅費を先方負担で行うことができたため剰余額が生じた。 剰余額は、共同で研究を進める指導学生の出張旅費や研究環境の拡充に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Laboratory experiment of ice group formation under waves.2023
Author(s)
Fujiwara, Y., Waseda, T., Kodaira, T., Nose, T., Katsuno, T., Sato, K.
Organizer
7th International Symposium on Arctic Research
Int'l Joint Research
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