2023 Fiscal Year Annual Research Report
分子輝線分布と主成分分析を活用した星・惑星系形成の最初期過程の解明
Project/Area Number |
22K20390
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大小田 結貴 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (20963094)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 若い原始星 / アウトフロー / 円盤・エンベロープ / 星間化学 / 電波天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は"①初期円盤の内部構造", "②激しい活動性の起源", "③有機分子の生成と進化"の3つの問いを明らかにすることであった。これを踏まえて本年度は以下の2つの研究を主に進めた。 1つ目は "②激しい活動性の起源"に関する。おおかみ座にある若い低質量原始星IRAS15398-3359をターゲットにし、この天体から噴出しているガス(アウトフロー構造)の分布と運動、またそこでの温度についてJWSTのデータ(赤外線観測)を用いて調べた。ALMAのデータを合わせることで、アウトフローの内側と、cavityでの物理状態の関係性を明らかにすることを目指した。この天体には複数のアウトフロー構造が検出されており激しい活動性があったことが報告されているが、その原因がまだわかっていない。そのことを調べるためにも、ALMAでは捉えることが困難な高温領域をJWSTで調べることは重要である。この研究と並行して、複数のアウトフロー構造の新たな観測をALMAに提案し、PIとして観測時間を確保することに成功した。 2つ目は"①初期円盤の内部構造"と"③有機分子の生成と進化"に関する。孤立した分子雲で形成されている若い低質量原始星B335の化学組成を調べた。原始星B335においてALMA観測データを解析し、複数本のメタノール重水素化合物のスペクトル線を検出した。これらを用いて、原始星ごく近傍の重水素濃縮度を求めた。また、非常に小さなスケール(分解能~5 au)での円盤・エンベロープ構造の運動解析には、観測したCH3OH分子とHCOOH分子の輝線を活用した。このように、最初期形成過程の化学構造と物理構造を高分解能で調べた。 2年間を通して、当初予定していた目的に向けて研究を進め、論文や国内・国際学会での発表として成果を挙げている。
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Research Products
(10 results)