2023 Fiscal Year Annual Research Report
複雑構造周りにおける液滴蒸発後の溶質膜形状制御因子の解明
Project/Area Number |
22K20397
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 真 東北大学, 工学研究科, 助教 (60966852)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 気液混相流 / 格子ボルツマン法 / フェーズフィールドモデル / 熱物質輸送 / 電磁気力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当初の目的は(1)固気液三相の温度場,気相中の溶媒濃度場,液相中の溶質濃度場,および液相の蒸発の全てを同時にシミュレート可能な,格子ボルツマン法に基づく汎用的気液混相流シミュレータを開発すること,(2)開発したシミュレータを用いて,複雑構造周りでの液滴蒸発後に形成される三次元溶質膜形状の制御因子を解明することの2点であった.2022年度は目的(1)のうち,固気液三相の温度場をシミュレート可能な手法の開発を試みた.しかしながら,気液界面において非物理的な熱輸送が生じることが判明した.調査の結果,この問題は気液界面での圧力と界面張力の不均衡に起因する非物理的な速度場によるものであり,非物理的な速度場が熱エネルギーの移流拡散方程式の移流項に代入されることで,非物理的な熱輸送を誘起していることがわかった.そこで,2023年度は方針を一部変更し,移流項を含まない拡散方程式を解くための格子ボルツマン法の開発から始めた.本手法を応用して,電磁ポテンシャルの定常拡散方程式を解くことで,電磁気液混相流の解析を可能にした.本手法は溶接プロセスなどに応用可能であり,本研究では,交流ティグ溶接において報告されている,溶融したタングステン電極が溶滴となって飛散する現象の解明を試みた.その結果,溶融した電極は電磁気力によって柱状に伸長し,液柱のくびれた部分に電磁気力と界面張力が集中することで液柱が破断し,溶滴が飛散することを明らかにした.また目的(2)に関連して,液膜が多孔質構造内部に浸潤する際の,押込圧力と接触角の影響について明らかにした.
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