2022 Fiscal Year Research-status Report
CFRPの微視的損傷メカニズムを考慮した疲労損傷解析手法の構築と疲労寿命予測
Project/Area Number |
22K20400
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 涼馬 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60967868)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 炭素繊維強化複合材料 / 疲労負荷 / 微視的損傷進展 / 有限要素解析 / 残留強度評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,炭素繊維複合材料(CFRP)の長期運用時の健全性評価に向けて,CFRPの微視的損傷を考慮した疲労損傷モデルの構築及び解析手法の開発を目的としている.疲労負荷によって生じる微視的損傷の累積メカニズムを数値解析的に明らかにし,CFRP積層板の層内の巨視的なき裂が形成されるまでの微視的損傷を定量的に評価することを目指す.層内に累積する微視的損傷がCFRP積層板の疲労後残留剛性・残留強度と疲労寿命に与える影響を評価する. 今年度は,CFRPのミクロスケール疲労損傷解析手法の構築に取り組んだ.まず,有限要素解析において,繊維・樹脂に加えて繊維/樹脂界面構造を考慮したモデルを作成した.本有限要素モデルでは,繊維配置のランダム性を考慮した.疲労損傷モデルとして,CFRP内の樹脂単体に損傷力学モデルに基づく疲労モデルを導入し,繊維/樹脂界面には結合力領域モデルによる疲労モデルを導入した.また,サイクルジャンプ法と呼ばれる計算コストを低減する疲労解析アルゴリズムを導入し,疲労解析手法を確立した.本アルゴリズムの導入により,計算コストを低減しつつ,巨視的なき裂形成に至るまでの損傷進展が十分な精度で予測できることを確認している.さらに,均質化手法によりCFRP積層板の1層での損傷量を定量的に評価する手法を確立した.本手法により,疲労負荷下におけるCFRP1層での損傷と疲労後の残留剛性を数値的に予測することが可能となり,残留強度評価に繋がることができた.現段階では,数値解析上で,疲労負荷下における微視的損傷の発生・進展と巨視的き裂形成過程が予測可能なことを確認している.今後は,層内の疲労き裂進展挙動の予測について,実験による損傷観察との比較をすることで妥当性検証を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り,本研究の主たる目的の一つである,ミクロスケールでの疲労損傷解析モデルの構築まで完了した.本疲労解析モデルにより,CFRP積層板の層内の巨視的き裂形成にいたる微視的損傷の累積過程を予測できることを示した.また,均質化手法による1層内での損傷の定量的評価により,疲労後残留剛性を評価することを可能にした.サイクルジャンプアルゴリズムの導入により計算コスト低減と十分な精度での損傷進展予測が可能であることを示し,構築した疲労モデルと解析手法の有用性を確認した.以上により,順調に研究が進展している状況と判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,構築したミクロスケール疲労解析モデルの妥当性を検証として,層内の疲労き裂進展挙動の予測について,実験による損傷観察との比較を行う.検証を終えた段階で,本解析手法による残留強度と疲労寿命の予測手法を確立する.また,構築したミクロスケール解析モデルを活用し,様々な疲労荷重条件下で,樹脂特性・界面特性が損傷累積・き裂形成に与えるメカニズムを検討する.疲労負荷による微視的損傷が積層板レベルでの残留剛性・強度に与える影響について,詳細に検討を行う.
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