2022 Fiscal Year Research-status Report
潤滑油酸化物単体の潤滑特性の測定を通じた潤滑劣化メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K20405
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
今 智彦 福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (50964433)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | トライボロジー / 潤滑油 / 潤滑油酸化物 / 油膜厚さ |
Outline of Annual Research Achievements |
機械要素の高度な寿命予想には、潤滑油の劣化によってしゅう動面が損傷に至るそのメカニズムを明らかにすることが必要である。潤滑油の劣化は基油や添加剤の酸化と摩耗粉などの異物の混入による汚損の二つに大別される。異物の混入による汚損はタンクなどの開口部からの侵入を防ぐなどして防止できる一方、酸化は潤滑油を使用するうえで防ぐことが困難であるため、潤滑油の酸化がしゅう動面の損傷に与える影響を明らかにすることが重要である。そこで本研究では、潤滑油の劣化要因の1つである酸化に着目し、酸化した潤滑油から酸化物を抽出し、抽出した酸化物の潤滑特性を評価することで、潤滑油の酸化による潤滑劣化メカニズムの解明を試みる。 本年度は模擬的に酸化させた酸化劣化油について、酸化物の抽出と分析に取り組んだ。酸化物の抽出にはシリカゲルカラムを用い、シリカゲルカラムに酸化劣化油とヘキサンを混ぜた混合溶媒を通し、その後ヘキサン・アセトン混合溶媒(混合比9:1)を通して酸化物の抽出を行った。また、抽出した酸化物についてDARTTM-MSを用いて分析を行い、酸化物成分が抽出されていることを確認した。さらに回転圧力容器式酸化安定度試験器(RPVOT)を用いて酸化度合を段階的に酸化させた酸化劣化油を作製し、そこから抽出した酸化物の重量を測定した。前述の抽出方法で抽出した酸化物の重量は酸化度が増加するとともに増加し、最も酸化した酸化劣化油では10 %程度が酸化物であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画において、本年度は「少量の潤滑油で潤滑特性を評価可能な試験機の構築」に取り組む予定であったが、試験機の製作に遅れが生じたため、次年度に予定していた「潤滑油酸化物の分離法の確立」を繰り上げて取り組み、潤滑油酸化物の分離方法の確立についてはほぼ終えることができたが、試験機の製作が遅れているためやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はまず前年度取り組む予定であった試験機の製作に取り組む。製作した試験機を用いて抽出した酸化物の潤滑特性を評価する。また、抽出した酸化物についての詳細分析も平行して進め、潤滑油酸化物の生成段階と潤滑特性の関係の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度製作予定であった試験機について、製作が遅れており物品購入を延期したため、次年度利用額が発生した。
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