2022 Fiscal Year Research-status Report
Effect of the centrifugal force on laminar-turbulent transition on a rotating cone
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22K20406
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
加藤 賢太郎 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (40967163)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 三次元境界層 / 乱流遷移 / 流れの不安定性 / 流れの可視化 / 流れの定量データ解析 / 光学計測 / 実験装置の設計,製作 |
Outline of Annual Research Achievements |
滑らかな流れ(層流)から乱れた流れ(乱流)への遷移は,壁面摩擦,熱伝達,流れの剥離などの性質を著しく変えるため,流体機械,輸送機械の効率に直結する問題として研究されてきた.これらの製品は高度な研究開発を経て複雑な曲面を有しているが,一般的な3次元曲面に発達する境界層流れの乱流遷移を扱った基礎研究は少なく,最適設計の障害になっている. 本研究は,3次元境界層の代表例である回転円錐上に発達する流れの渦構造とその崩壊による乱流遷移過程を光学計測を通じて解明する.頂点角度のみで幾何形状が決まる回転円錐は単純なモデルながら,頂点角度によって,横流れ不安定性による螺旋型の渦,遠心力不安定性によるリング型の渦と曲面上流れを代表する異なるタイプの渦を発生させることが知られている.本研究では,(A)遠心力による渦の崩壊作用,(B)崩壊を抑制する軸方向流れに注目し,渦の崩壊における力学的な共通原理を明らかにすることを目的とする. 2022年度は,軸方向流れを導入できる信州大学の曳航水槽での実験用の回転円錐モデルを設計,製作し,現在,可視化による定性的な傾向を掴む予備実験を行っている.また,これまでの実験によって得られた半頂角が0度(回転円柱),30度,60度,90度(回転円盤)のデータの処理を横断的に行った.これらのケースは,これまで,個別に評価されることが多く,その相違点,遷移や不安定性における共通点に着目されることが少なく,論文出版,学会発表に繋がった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの実験によって得られたデータの処理,論文出版,学会発表は,当初予定していた以上の成果があったが,新たな回転円錐モデルの設計段階で,防水機構をはじめとした設計構想の修正が必要なことがあり,設計作業がやや難航した. 設計されたモデルの製作,組み立て工程は順調であり,現在,定性的な傾向を掴むための可視化実験を急いでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,(a)定性的な可視化実験,(b)計測法の開発,(c)光学的な定量計測を行う以下のように行う予定である. (a)定性的な可視化実験に関しては,回転体の振れ回りの評価,回転数の制御,撮像写真と実空間のキャリブレーション,流れに追従するトレーサーの選定などを経た後,必要であれば計測設備,円錐モデルの修正を行なっていく方針である. (b)流れの曲率がきつく,三次元的な流れ場になる回転円錐上の境界層の速度場の定量計測を行うために,色相を時間で変化させたLED照明を用いた高速三次元粒子画像流速計を開発中である.これは,(a)と並行して進めている. (c)曳航水槽を用いた光学定量計測は,(a)(b)が出来次第,行う予定である.
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Causes of Carryover |
回転円錐モデルの設計,製作にあたり,防水機構をはじめとする設計の大幅な変更が必要なことがわかった.また,設計変更後の製作にどのくらいの時間,金銭的な見積もりが正確につきにくい上に,どこまで設計仕様が達成できるかの見通しが技術的につきにくい部分があることが判明したため,令和4年度は,比較的な小型で製作容易なモデルの試験的な設計,製作を行い,小規模な実験を開始することに計画を変更し,自己経費を活用して研究を進めた.令和5年度は,これを改良,改善したもので本実験を予定しており,また当初,令和4年度に予定していた光学計測用のカメラ,撮像データ用のハードディスク,画像処理用のワークステーションは令和5年度に購入するように計画を変更した.
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Remarks |
スウェーデン王立工科大学の流体物理研究所が毎年発行する研究所のプロジェクトの一覧(リンク先の画像をクリックすることで,pdfのダウンロードが可能).ダウンロードしたpdfのうち,84ページ,85ページが本研究中の国際共同研究によるもの.
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