2022 Fiscal Year Research-status Report
高温面の超高速冷却実現に向けたクエンチ現象予測モデルの構築
Project/Area Number |
22K20411
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梅原 裕太郎 九州大学, 工学研究院, 助教 (80961755)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 沸騰 / クエンチ現象促進 / 金属多孔質体 / 限界熱流束 |
Outline of Annual Research Achievements |
液体による高温面の急速冷却は、鋼材の材質改善(熱処理)や原子炉の緊急冷却など極めて重要な事象である。一般的に、高温面の冷却速度は高温面で生じる沸騰現象に支配されており、冷却初期段階において遅く、ある地点で急激に速くなることが知られている。この冷却速度の遷移をクエンチ現象と呼ぶ。本研究の目的は、クエンチ現象を促進する因子を操作し、急速冷却が実現された際の冷却速度を正確に予測するクエンチモデルを構築することである。2022年度は、高温物体側の促進因子を変更し、クエンチ実験を実施するための実験装置の製作および実験データの取得を行った。液体窒素を冷却水に用いて、銅ブロックを高温物体とし、底面のみを接触させ冷却した。その際の温度変化を熱電対で計測し、その様相を高速度カメラで撮影した。クエンチを促進するために、銅ブロック底面に様々なもの(HPP(ハニカム多孔質体)やCPP(銅多孔質体)、霜)を取り付け、それによるクエンチ促進の影響を裸面と比較調査した。HPPは、裸面に比べて冷却時間を半分に短縮できた。しかし、クエンチ温度は、大きく変化せず、膜沸騰熱伝達を向上させただけであった。CPPおよび霜がもっとも短時間で冷却することができた。これは、沸騰状態が壁面温度が高い状態で遷移をしたことによるもの、つまりクエンチ温度が大きく上昇したことに起因する。クエンチ温度が大きく上昇した要因として取り付けた物体の持つ熱伝導率が小さく、接触面温度がHPPや裸面に比べて小さくなったため、壁面温度が高温の場合でも冷却を促進することができたと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
簡易実験装置の製作が終了し、必要なデータを取得することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
最近の研究報告で、固液接触時の局所における高温固体内部から冷却水側への熱流束がクエンチ現象に至るかどうかの境界値となっていることが報告されている。今後は、現在得られている冷却曲線(温度の時間変化)からその熱流束と接触時間との関係を明らかにし、クエンチ現象が生じる要因・メカニズムをより詳細に検討していく予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度は、実験装置の図面作成に時間がかかり、必要な物品購入ができなかったことにより、次年度使用額が生じた。こちらの使用額を使用することで、当初の目的を次年度中に達成できる見込みである。
|
Research Products
(1 results)