2022 Fiscal Year Research-status Report
Superlubricity of silicon-based ceramics realized by controlling atomic-scale interfacial phenomena and structures
Project/Area Number |
22K20413
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
桑原 卓哉 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 講師 (10851917)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 固体潤滑 / セラミクス / アモルファスカーボン / 超潤滑 / 量子化学 / 分子動力学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコン系セラミクスの真空中での超潤滑現象に関して、そのメカニズムを解明することを目的として量子化学分子動力学法を用いたコンピュータシミュレーションを実施した。セラミクス同士の摩擦では摩擦係数は低下しないというこれまでの知見に基づきアモルファスカーボンとセラミクス間の摩擦界面に着目した。アモルファスカーボンの水素含有量が小さいとき、せん断はセラミクス内部で起こる。これは、セラミクスの摩耗に引き起こす。一方、水素含有量が増えると、せん断面はアモルファスカーボン内部へと移動する。このとき、アモルファスカーボン内部における激しい塑性変形は構造変化を引き起こし、やがて低摩擦界面が自己生成することで摩擦係数が降下した。すなわち、セラミクス表面におけるアモルファスカーボンの移着膜の形成とそれに伴うアモルファスカーボン同士の摩擦状態の形成が確認された。しかし、水素含有量の過度な増加は、アモルファスカーボンとセラミクス間の化学的な相互作用を弱めることから、界面での化学結合の生成が抑制され、移着膜の形成は見られなかった。このシミュレーション結果に基づき、それぞれの材料の塑性せん断強度を評価すると、窒化ケイ素と28 at. %水素含有アモルファスカーボンが同等であることが分かった。これは、アモルファスカーボンが28 at. %以上の水素含有量を有するとき、せん断面がアモルファスカーボン内部に移動可能であることを示唆している。実際ではナノスケールで均一な水素含有量を有する膜を合成することは困難であることから、潜在的な低せん断面の存在が、移着膜形成の引き金になると考えられる。以上より、シリコン系セラミクスを用いた固体潤滑システムの開発に向けた設計指針の獲得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者と密に連携して研究を進めており、計画通り進展している。共同研究者が実施した実験結果が研究開始直後に全て揃ったため、その結果に基づきシミュレーションの実施計画と論文執筆に向けた準備を進めることができた。計算機の購入及び外部大型計算機を使用することで、計画通り大規模パラメータ空間の探索が可能となり、統計的なデータを獲得できた。特に、アモルファスカーボンの構造の違いが摩擦挙動に及ぼす影響を理解するために多くのサンプルを作成した。それにより、確率的なプロセスを可視化することができた。年度内に論文投稿が完了し、また来年度中の国際会議での発表を準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
第二年度は、投稿論文の査読対応、そして得られた知見の一般化を目指す。具体的には、セラミクスだけでなく異なる材料に対して、移着膜の形成と塑性せん断強度の相関を検証する。対象とする材料は、酸化鉄や炭化ケイ素等とする。酸化鉄のシミュレーションを実施するために、第一原理計算に基づく分子動力学法を用いる。摩擦シミュレーションが可能なPythonコードを開発する。得られた知見を基に、界面相互作用・せん断強度とそれらの温度・圧力依存性に関するデータベースを構築することで、理論に基づく移着膜形成予測を実現する。
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Causes of Carryover |
当初参加を予定していた国内の研究会がオンラインで行われ旅費が不要となったため。獲得したデータにより記憶容量が不足しつつあるため、ネットワークHDDの拡張を行う。Intel Xeon搭載の100TB程度のサーバーを購入する。また、研究結果を発表するための出張旅費を計上する。
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