2022 Fiscal Year Research-status Report
Structural dynamics of WC-Co tool surface in Ti cutting process
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22K20419
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Research Institution | Toba National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
児玉 謙司 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60508208)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 切削加工 / 摩耗 / 超硬 / 放射光 |
Outline of Annual Research Achievements |
チタン合金のフライス切削進行中における,WC-Co超硬チップすくい面のリアルタイム劣化をミリ秒単位で明らかにすることを目的に、本年度は次の3点について実施した。①切削劣化ダイナミクス計測で利用するフライス切削システムを鳥羽商船高専研究室に立ち上げた。考案した切削システム仕様に基づきレーザー検出器等を購入し、実習工場既設フライス盤を活用してシステムを構築した。回転するカッターのチップ刃先に取り付けた反射板にレーザー光を照射し、切削1回転毎の反射光検出をオシロスコープ波形から確認することに成功した。②WC-Co超硬チップを用いて,鋼ブロックの側面切削実験を実施した。本来の被削材はチタンであるがブロック材は非常に高価である。そのため実験条件を求める段階では鋼ブロックを使用した。この側面切削実験は,限られた放射光ビームタイム内でWC-Co劣化が観測可能となる実験配置や、切削条件を導くために実施した。切削後のチップ表面劣化について顕微観察を行い摩耗状況を評価した。購入設備備品として、フライス盤、マイクロスコープの購入を計画していたが、学内研究者の協力のもと、学校所有のフライス盤、デジタルマイクロスコープを活用することができた。③放射光施設研究者を訪問し、本実験に関する説明と協力を打診した。SPring-8においては、小型マシニングセンタを活用して、オイルレス環境による動的計測が可能であることが分かった。またあいちシンクロトロン光センターでは、切削後のチップの静的評価が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を3ステップで進める計画を立てた。当該年度ではステップ1として、切削劣化ダイナミクス計測で利用するフライス切削システムを鳥羽商船高専研究室内に立ち上げること、ステップ2として、WC-Co超硬チップ付きエンドミルを用いて、Ti合金ブロックの側面切削実験を実施することを計画した。ステップ1は、計画通りに進行した。回転するカッターのチップ刃先に取り付けた反射板にレーザー光を照射し、切削1回転毎の反射光検出をオシロスコープ波形から確認することに成功している。ステップ2はやや遅れている。WC-Co超硬チップを用いて鋼ブロックの側面切削実験を実施した。限られた放射光ビームタイム内でWC-Co劣化が観測可能となる実験配置を導く基礎実験実施に、計画を超える時間を要したからである。そのためにチタン材に対する切削実験を行うに至っていない。基礎実験が計画通りに進まなかった理由としては、加工中にベッド上でスライド動作する被削材を回避してレーザーをチップ刃先に当て続ける実験配置の検討に時間を要したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
8月までに、チタン材に対する切削実験を行い、マイクロスコープによるX線分光・回折実験から摩耗状況評価し切削条件を決定する必要がある。当初研究計画では、現時点の5月ではこの実験が進行している段階であるが、未着手である。今後実験を実施し、8月までに実験条件を決定し、計画の遅れを取り戻す必要がある。そのためにはマイクロスコープによる観察や、X線実験を効率的に進める必要がある。本スタートアップ研究について学内外の研究者に説明を行ったところ、鳥羽商船高専からはマイクロスコープ計測、三重県工業研究所からはX線実験に対して協力いただけることとなった。学内外の研究者と連携して実験をすすめ、遅延を取り戻す。また専門家からの助言を受けて、より科学的により深い議論を行い研究を進めていく。また、8月以降の放射光実験についても放射光研究者との連携が必要である。並行して実験計画立案に取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
本年度小型フライス盤を購入する計画であったが、学内に小型フライス盤があることが判明し研究に活用できることとなった。またマイクロスコープについても学内設備を活用できることが判明し活用できることとなった。そのため、それら物品購入予算の執行を行う必要がなくなったため次年度使用額が発生した。しかし、次年度の研究では、学内外の研究者の協力を得て、学内外の研究者が維持管理するデジタルマイクロスコープや、X線設備を利用して連携して研究を推進することとなったため、施設利用費や消耗品を購入する必要がある。そのために次年度使用額を充当する計画である。
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