2022 Fiscal Year Research-status Report
深宇宙航行に向けた高比推力型マイクロ波放電式イオンエンジンの実現
Project/Area Number |
22K20421
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
田畑 邦佳 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (80963959)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | DESTINY+ / はやぶさ2 / 大電力電気推進 / 高比推力 / イオンエンジン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,高比推力イオンエンジンμ10HIspを作動させるために必要なガス絶縁器の研究を行った.「はやぶさ2」のイオンエンジンは,導波管だけでなく放電室にも推進剤供給を行うことで,「はやぶさ」初号機に比べて推力が増強された.先行研究でμ10HIsp用に開発されたガス絶縁器は,導波管への推進剤供給を前提として開発されたため,推力増強型において耐電圧が不足することが問題となった.そこで本研究では,非常に複雑な流路を持たせることで電子の加速を妨害し,耐電圧を極限まで高めたガス絶縁器を製作し,その耐電圧評価を行った.直流高圧電源により耐電圧を評価したところ,目標としていた耐電圧7キロボルトが達成できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高比推力型イオンエンジンμ10HIspを動作させるうえで必要な機器であったガス絶縁器の耐電圧評価が終わり,実機作動を行う見通しが得られたため.また,新規開発しているDESTINY+搭載の推力増強型イオンエンジンにおいて,安定して良い性能を発揮できる設計が確立しつつあり,以前から問題視されていたμ10HIspの動作不安定性の改善に大きく役立つことが見込まれる.
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Strategy for Future Research Activity |
高比推力イオンエンジンμ10HIspを先行研究と同条件で作動させ,動作不安定性を改めて確認する.その後,2022年度に得られた知見を最大限に生かして動作不安定性の解消に役立てる.それと同時に,実機搭載に向けて,イオンエンジン各機器の軽量化などの検討を進める.
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