2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on High Field Carrier Transport in Gallium Nitride
Project/Area Number |
22K20423
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 拓也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (20965694)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム(GaN) / 高電子移動度トランジスタ(HEMT) / ドリフト速度 / 高電界物性 / ワイドギャップ半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
窒化ガリウム(GaN)は高い絶縁破壊電界および高いバンドギャップを有しており,高耐圧・低損失・高周波動作可能な電子デバイスの材料として期待されている.窒化アルミニウム(AlN)と混晶・ヘテロ接合の形成が可能であり,AlGaN/GaNヘテロ接合界面には高密度かつ高移動度な二次元電子ガス(2DEG)が分極誘起される.これらの物性を生かしたGaN系高電子移動度トランジスタ(HEMT)は,比較的小容量のパワーデバイスや携帯基地局などの高周波増幅デバイスとして実用化も進んでいる.そのデバイス特性の理解や性能向上には,更なる基礎物性の理解が重要である.特に,高周波デバイスにおいてはゲート長の縮小により高電界が印加されることになるため,高電界ドリフト速度の理解が重要であるが,その測定の難しさから正確な値が得られていない状況であった. 本研究では,AlGaN/GaNヘテロ接合に対して,縮退n型GaN再成長コンタクトを有する伝送長法(TLM)測定用素子を作製し,その特性を1 us以下の高電圧パルス測定によって調べた.再成長コンタクト層の活用によって寄生抵抗の影響を極力低減し,パルス測定によって自己発熱の影響を極力低減することで,2DEGの速度-電界特性を精緻に得ることに成功した.電子濃度の上昇につれて最大ドリフト速度は低下したが,これは高エネルギーな電子状態を占める電子が増大することで光学フォノンの放出が起こりやすくなることに起因すると考えている.また,温度上昇につれて最大ドリフト速度がわずかに減少する傾向が見られた.これらの結果は,GaN系電子デバイスを設計・特性を理解する上で極めて重要な成果である.今後,得られた実験データについて理論的に考察し,ドリフト速度を普遍的にモデル化をすることを目指す.
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