2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Fast Analysis and Design of Magnetic Components for Switching Converter Driving at Several 10MHz to 100MHz
Project/Area Number |
22K20435
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 佑樹 青山学院大学, 理工学部, 助教 (00966004)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 高周波磁気解析 / 均質化解析 / 寄生キャパシタンス / Cauer回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、主に「磁性素子中の巻き線由来の損失の課題」に取り組んだ。磁性素子の巻き線中には、表皮効果・近接効果に関する銅損と寄生キャパシタンスを起因とする誘電損失が存在する。しかし、これらの現象は磁性素子のサイズに比べ、1000分の1以下のミクロ場での現象であり 、有限要素解析を使用する場合要素数が膨大となってしまうため、計算時間が長大となってしまう。 上記の問題に取り組むために、今年度申請者は、以下の2つの方法の提案を行った。 (i) 寄生キャパしタンスを考慮した拡張Cauer回路の提案 (ii) 寄生キャパシタンスを考慮した均質化有限要素解析 上記の方法を用いることで、高精度に寄生キャパシタンスに起因する誘導損失の効果を導入することが可能である。また、解析時間も従来の方法と比較し、非常に高速であり、結果的に100倍以上の高速化を達成している。これらの研究成果を使用することで、数100MHz帯域までの巻線由来の損失を考慮することは可能となる。これらの研究成果に関して、国際学会において、3件の発表を行なっている。 2023年度は、高周波磁気損失に関して取り組む。従来は2コイル法と呼ばれている手法が広く用いられているが、高周波測定において精度低下することが知られている。そこで本研究では、共振法と呼ばれる手法を用いて、損失推定を行う。本手法を用いることで、数10MHz~100MHz帯における損失測定を行い、その後その損失推定モデルを構築する予定である。共振法に関する研究はすでに初めており、2023年3月に行われた電気学会全国大会で一件発表を行なっている。ただ、まだ10MHz以下における損失測定になるので、本年度で測定周波数を上げていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、主に「磁性素子中の巻き線由来の損失の課題」に取り組んだ。磁性素子の巻き線中には、表皮効果・近接効果に関する銅損と寄生キャパシタンスを起因とする誘電損失が存在する。しかし、これらの現象は磁性素子のサイズに比べ、1000分の1以下のミクロ場での現象であり 、有限要素解析を使用する場合要素数が膨大となってしまうため、計算時間が長大となってしまう。 そこで、申請者は以前に提案していた均質化有限要素解析と寄生キャパシタンスを並列に連成することで、表皮・近接効果に起因する交流損失と寄生キャパシタンスを考慮する手法の提案を行った。この方法では、寄生キャパシタンスを導入するため、解析の回数は増えてしまうが、従来の方法と比べ、それぞれの解析時間が大幅に削減可能なため、結果的に100倍以上の高速化を達成している。 また、Cauer回路と共振回路を連成することで、表皮効果・近接効果に起因する交流損失と寄生キャパシタンスを同時に考慮する解析手法の開発も行なった。本手法では、従来のCauer回路では交流抵抗のみであったが、共振回路を導入することで、共振特性も考慮可能となった。この手法においても、高速に考慮可能であり、非常に有効な手法である。
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Strategy for Future Research Activity |
通常の磁気損失の測定においては、2コイル法 が広く用いられているが、数MHz以上となると、測定精度が劇的下がるため、2コイルでの測定には限界がある。そこで、本研究においては、2 コイル法ではなく、高周波の損失測定に有効であることが期待されている共振法を使用する。共振法の測定に関して国内では磁気デバイス研究 所の上原氏が権威であるが、申請者は上原氏と長年共同研究を続けており、申請者と研究結果も報告している。本手法を使用することにより、 高周波による磁気損失測定、推定手法の開発を行う。 高周波磁性材料の損失測定のための共振法に関しては、磁気デバイス研究所の上原氏と引き続き共同研究を行い、磁気デバイス研究所での測定 を考えている。そのため、本経費より、施設利用料として精算を行う予定である。また、磁気測定に必要なネットワークアナライザの購入を検討している。
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Causes of Carryover |
2022年度の残額と2023年度の基金を使用して、ネットワークアナライザ(~150万)を購入予定のため、残額が生じている。
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