2022 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ光コム発生系の可搬化と環境温度のコム雑音に対する影響の検討
Project/Area Number |
22K20441
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
鐵本 智大 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 主任研究員 (50894870)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロ光コム / 光周波数コム / 微小光共振器 / 非線形光学 / マイクロ波フォトニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
時間・周波数・空間領域での精密計測を可能にする光源である光周波数コムを小型に実現する手法としてマイクロ光コムが注目されている。しかし、マイクロ光コムの発生には専門的な技術が必要であり、発生系も大型なことから実験室外に持ち出しての利用が困難である。これらのことがマイクロ光コムの応用を検討する上で障壁となっている。また、マイクロ光コムの位相雑音や周波数安定度が動作温度に影響を受けることを示唆する実験の報告があるにも関わらず、原因や物理の検討が十分ではない。本研究では、マイクロ光コムの分野横断的な応用検討の裾野を広げるために、その発生系の可搬化と雑音への動作環境温度の影響の調査を行うことを目的としている。 昨年度の活動では、可搬型マイクロ光コム発生系の構築とマイクロ光コムの雑音評価系の構築・動作確認に主に取り組んだ。前者については、試作系の設計・構築を行い、設計における課題を確認した。また、課題を踏まえて設計を改良し、改良系の構築に着手した。後者については、雑音評価系の構築と実験的な動作確認を行った。具体的には、電気光学変調コムを利用したマイクロ光コムの位相雑音測定系と市販のコンプレックススペアナを含む高分解能の光スペクトル測定系を構築・試用する事で、マイクロ光コムの位相雑音及びスペクトルの変化をそれぞれ十分な感度・分解能で観測できることを確認した。 なお、対外発表については、マイクロ光コム関連の話題について、国内の学会での2件の招待講演、2件の一般講演(内1件は共著)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究には、大まかに「マイクロ光コム発生系の可搬化(小型化)」と「動作温度のマイクロ光コム雑音への影響の評価」の2つの課題がある。今年度は、前者については可搬化系の設計と試作、後者については雑音評価系の構築と動作確認に取り組んだ。 まず、1つ目の課題については、30cm×45cmのブレッドボード上に収まる系を試作した。その過程で、チップ上の導波路に光入力するレンズドファイバの調芯用ステージの位置ブレが想定より大きく、チップを傷つけてしまう可能性がある事に気づいた。現在は、改良した系を設計し、その構築に取り組んでいる。 2つ目の課題については、電気変調光学コムを利用したマイクロ光コムの雑音評価系を構築し、十分な感度での雑音評価が可能である事を実験的に確認した。また、市販のコンプレックス光スペアナを利用したマイクロ光コムのスペクトルの変化の調査についての予備実験を行った。具体的には、マイクロ光コムのスペクトルと光共振器の共振器周波数との離調を測定し、マイクロ光コムのスペクトルを高い分解能で観測できることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、まず、改良した可搬型マイクロ光コム発生系を完成させ、動作確認を行う。ジグの機械工作と組み立て及びコム発生条件の調整が主な課題となる。次に、発生したマイクロ光コムの位相雑音のチップの動作温度変化に伴う増減とスペクトルの変化を観測する。位相雑音とスペクトルの変化の評価には、昨年度の活動で構築・動作確認した雑音評価系が利用出来る。位相雑音が低減できる動作条件を見つけ、その要因を探索する。
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Causes of Carryover |
昨年度の予算使用は概ね計画通りに進んだが、17円だけ端数が生じた。今回の次年度使用額は少額であるため、使用計画に変更は特に生じない。
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