2023 Fiscal Year Annual Research Report
浅海域・堤防・陸域における水理現象をシームレスに考慮した高潮浸水モデルの開発
Project/Area Number |
22K20447
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
福井 信気 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (70962306)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 高潮 / 市街地浸水 / 建物 / 質量保存則 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では,前年度に構築した建物サブモデルについてのさらなる検証を実施した.具体的には,平易な地形を用いた理想化数値実験において建物サブモデルを用いた再現計算を行い,計算結果のモデル特性を検討した.理想化数値実験では,一様な形状(幅: 5 m,高さ: 6 m)をした建物を配置した建物群及び幅及び配列がランダムな建物形状の建物群を標高0 mの陸域に設置し,水深10 mの水平床に斜面で接続した理想地形を作成し,建物を直接地形として取り扱う高解像度計算の結果を真値として再現計算を行った.時間発展後の水位には水体積比率(<1.0)の逆数が掛かるため,高度化前に比べて水位の値が大きく計算され,建物遮蔽による水排除を表現することができる.この傾向は建物密度が大きくなるにつれて顕著に表れることが分かった.複雑な都市地形でのモデル特性を確認するため,Fukui et al., 2021にて実施した市街地浸水実験によって計測した浸水深及び浸水範囲を用いた精度検証を実施した.理想化数値実験と同様に,高度化後の建物サブモデルは高度化前に比べて全域的に浸水深が上昇する傾向であり,高度化前の建物サブモデルを用いた時よりも10-40%程度大きい浸水深を与えた.結果として,汀線付近を中心に高度化前のモデルでは過小評価傾向である地点ではモデルの再現性が向上した.一方で,内陸部では逆に浸水深が過大評価になり,水体積比率の計算方法などモデルの改善の必要性が確認された.研究期間全体を通じて,堤防をまたぐ浅海域及び陸域のシームレス化を当初目標としていたが,建物サブモデルのさらなる検証及び高度化が必要となり,最終的には建物サブモデルの高度化が主たる研究となった.ただし,当初の目的である堤防のモデル化及び浅海域・陸域のシームレス化は重要であり,現在も引き続き準備を進めている.
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