2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K20461
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福本 晃治 岡山大学, 環境生命科学学域, 特任准教授 (50964772)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 木質構造 / 接合部 / ドリフトピン / スペーサー / 耐震性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の一般的な鋼板挿入ドリフトピン接合では挿入鋼板から伝達される力がドリフトピンに作用し周囲の木部を支圧降伏させながら変形が増大する。木部は一度支圧でめり込むと変形が戻らず、繰り返し荷重でドリフトピン周辺の隙間が拡大し、ドリフトピンが木部に接触するまで抵抗力を発揮しないことからスリップ型の履歴性状となる。一方、ドリフトピンをスペーサに通すことで、木部への支圧応力が分散し木部のめり込みを防ぐともに、中央部に空洞を設けることで、ドリフトピンのみを降伏させることが可能となり、鋼材としての履歴特性を得ることが期待できる。また、スペーサによりドリフトピンの実効長さが短くなることで、一般的な接合と同等の剛性を発揮することもできる。 これまで、解析的検討により、スペーサを加えることで、接合要素としての履歴性状が改善し、木質材料を1用いた耐震要素により、構造物全体の耐震性能を向上できる可能性があることを明らかにした。 主なパラメータとして、ドリフトピンの径、長さ、強度、スペーサの径、長さ、木材の厚さ、支圧強度、及び空隙部の長さなどである。スペーサの径を大きくすると支圧応力度が分散する一方で、木材の断面欠損が大きくなり、スペーサ周囲での引張破断や集合型破壊を生じやすくなる。そのため、ドリフトピン一本あたりに期待するせん断耐力と、スペーサの寸法設定との関係は重要な要素となる。 これらのことを考慮し、解析的な検討により、接合部実験のための試験体パラメータの設定を整理しているところである。また、木造建築の接合メーカー(BXカネシン)の協力により、実際に実用化する際のスペーサ形状や製造方法について先行して検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで、解析的検討を中心に実施してきたが、予算執行時期以降で実験施設のスケジュール確保ができず、実際的な現象や効果を把握するための構造実験が未実施となっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまでの解析的検討を整理し、これを基にして、最も有効と考えられる試験体パラメータを設定し、7月までに実験計画を作成し、8月以降に順次構造実験を実施していく予定である。 実験施設は、BXカネシンの開発試験センターの使用を依頼済みである。
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Causes of Carryover |
主な支出として予定していた構造実験が未実施であるため次年度使用額が発生した。 本年度は、構造実験を実施するため、予算の消化が見込まれる。 また、学生数が増えたことから、解析プログラムのライセンス本数が慢性的に不足しており、予算が許す範囲で、本検討に使用する構造解析プログラムのライセンスの追加を検討している。
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