2023 Fiscal Year Research-status Report
残余宅地の解消プロセスからみる東日本大震災の集団移転計画の経年的実態把握
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22K20462
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
坪内 健 札幌市立大学, デザイン学部, 助教 (80964907)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 集団移転 / 経年変化 / 環境移行 / 住宅地計画 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、パイロット的事例にみる住民の流動性と住宅地計画の経年評価に着手した。具体的には、パイロット的事例に選定した気仙沼市小泉町地区を対象に、参加型ワークショップのもとで実現した住宅地の経年評価を住民へのインタビュー調査によって明らかにした。 その結果、住民による再定住の過程や住宅地への評価は必ずしも肯定的なものではなく、とりわけ過疎化が進行する地区の状況や新型コロナウイルスの感染防止による自治活動の中断が住民の認識に与える影響は大きい様子が窺えた。住民は住宅地への転入者を好意的に捉えているものの、そうした経年変化を地区の環境移行へと肯定的に組み込むには課題があることが見出される。 一方、インタビュー調査では、調査者が住宅地の評価を聞き出す際に、住民と現状を経年変化とともに確認するとそれによって住民の認識が肯定的なものへと転換することがあった。これは、住民が自らの環境移行に対する認識を他者と共有することで知的な理解を越えた腑に落ちる経験へと昇華することができたと解釈でき、環境移行に対する継続的な調査の有効性が示唆される。こうした継続的な調査が住民の長期的な環境移行を安定させる可能性を有していることについては、環境移行に関する調査の方法論として今後より精査して考察する必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿っておおむね順調に進行している。申請時に予定していた研究課題であるパイロット的事例にみる住民の流動性と住宅地計画の経年評価を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査によって得られた調査の方法論に関する新たな論点を踏まえ、より多くの研究成果が得られるように研究を推進させていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画にはなかった新たな論点を見出すことができ、研究期間を延長して発展的な研究成果を得る計画へと修正し、今後、文献調査などを中心に考察を深めていく。
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[Book] Community Relocation, Disasters and Climate Change in Asia-Pacific Region2024
Author(s)
Suguru Mori, Richard Carter-White, Yugo Hatakeyama, Ken Tsubouchi, Naoko Kuriyama, Diah Wasis Wulandari, Duy Thinh Do, Tetsuya Okada, Rie Nomura, Junko Ikezoe
Total Pages
212
Publisher
Copal Publishing Group
ISBN
9383419822