2022 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な社会を実現する自然環境調和型エネルギー需給システム構築に向けた技術開発
Project/Area Number |
22K20465
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
寺島 康平 東京理科大学, 工学部建築学科, 助教 (80966565)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | SDGs / 太陽光 / 集熱 / 発電 / PV/Tソーラーパネル |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽電池(PV)は変換効率が現状15%程度であり、残りの約85%が外気温+30℃程度の環境に対する廃熱になるため、PVの普及が拡大することで環境への熱負荷が増大する。本課題の目的は、太陽エネルギーを電力および熱源として利用することで自然環境への熱負荷を最小限にすることが可能な、民生用エネルギー需給システムのデザインである。このシステムには、太陽エネルギーを電力と温水に高効率に変換するPV/Tソーラーパネルを用いており、得られた温水は給湯や暖房に利用することが可能である。一方で、夏季の冷房需要にPV/Tソーラーパネルの集熱を活かせないことが課題であった。 今年度は、夏季における高効率太陽熱利用を目指し、PV/T ソーラーパネルとエジェクタ冷凍サイクルを組み合わせたシステムの検討をシミュレーションで行った。エジェクタ冷凍サイクルは、60℃程度の温水を使用して15℃程度の冷風・冷水を供給することができ、PV/Tソーラーパネルで得た温水を有効利用することが可能である。本研究では、このエジェクタ冷凍サイクルの計算モデルを、開発済みのエネルギー需給シミュレータに導入し、東京におけるシステムの有効性を検証した。 シミュレーションの結果、従来のエアコンによる対流式冷房と比較して、上述したシステムは夏季の消費電力量を約40%削減でき、夏季における太陽熱集熱を有効利用できる可能性を示した。一方で、エジェクタ冷凍サイクルに必要な冷却水を冷却塔で供給することを想定したが、高湿な東京の気候においては要求される冷水温度で供給するのが難しく、システムの設計を再考する必要があることが分かった。今後は今年度の成果を基に、システムの再設計や異なる気候におけるシステムの有効性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に使用するPV/Tソーラーパネルを設計したが、製作方法に関して業者と折り合いが付かず、製作が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室内用のPV/Tソーラーパネルのテストデバイスを製作し、環境試験室を用いて実験室温度を制御し、設置角度・作動流体等の条件を変化させて性能を検証する。 東京海洋大学で開発されている多孔質セラミックス冷却装置は、シミュレーションに導入する予定であったが、研究方針の変更によりモデル化が困難になった。そこで今後はPV/Tソーラーパネルとエジェクタ冷凍サイクルを組み合わせたシステムに焦点を当て、その有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
PV/Tソーラーパネル実験装置を設計したが、製作方法について業者と折り合いが付かず、製作が遅れている。この実験装置以外で購入できる測定装置を今年度は先に購入し、それ以外は来年度に使用することとした。
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Research Products
(1 results)