2022 Fiscal Year Research-status Report
高炉スラグ微粉末を用いた再生骨材コンクリートの六価クロム溶出抑制技術に関する研究
Project/Area Number |
22K20469
|
Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
文野 光 小山工業高等専門学校, 建築学科, 助教 (80966929)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 再生骨材 / 六価クロム / 高炉スラグ微粉末 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、資源の不足により世界中でリサイクル材の利用が進められており、コンクリートの分野においても解体コンクリート片を使用した再生骨材の利用が進められている。しかし、再生骨材は炭酸化の影響を受けて、人体に有害である六価クロムが溶出しやすい状態であると言える。再生骨材を利用する上で、有害な六価クロムの溶出の対策を講じることは環境的観点において必要不可欠であると言える。 コンクリートの六価クロムの溶出はセメントの一部を高炉スラグ微粉末に置換することで制御可能と言われているが、再生骨材を使用したコンクリートの高炉スラグ微粉末を用いた六価クロム溶出抑制効果を検証した事例はないと言える。 そこで本研究では、再生骨材コンクリートの六価クロム溶出抑制技術に開発を最終目的として定め、今回は既存の再生骨材の六価クロム溶出の再検証および高炉スラグ微粉末による再生骨材から溶出する六価クロムの抑制技術の検討を行うこととした。 2022年度は研究の第一段階として、既存の販売されている再生骨材を対象として六価クロム溶出試験を行った。本研究に使用する再生骨材からの六価クロム溶出が確認された。 2023年度は高炉スラグ微粉末を用いた再生骨材からの六価クロムの溶出抑制技術の検討の実験を行う。再生骨材と高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートを作製し、六価クロムの溶出試験を行う。加えて、再生骨材コンクリートに炭酸化を施し、六価クロムが溶出しやすい状態の溶出量を確認する。それにより再生骨材コンクリートの六価クロム溶出抑制に必要な高炉スラグ微粉末の量を検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は主に2023年度に行う本格的な再生骨材の六価クロム抑制技術の検討の前段階の準備としており、おおむね順調に進展していると自己評価した。 2022年度は研究の第一段階として、既存の販売されている再生骨材を対象に六価クロムの溶出試験を行った。結果として、一般に販売されているセメントペーストが付着している再生骨材から六価クロムが溶出することが確認された。本研究に使用している再生骨材に炭酸化を施し、さらに六価クロムが溶出しやすい状態とし、六価クロムの溶出試験を行う。報告書提出時において再生骨材の炭酸化を継続して進めている。 研究実施計画書に記載した、再生骨材から溶出する六価クロム量を測定する分光光度計を導入した。導入した分光光度計による再生骨材の六価クロム溶出量の測定手順を改めて整理し、測定の可否の確認を行った。 また、外部施設の研究機関の測定装置の確認を行い、実験に必要な物品等の選定を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度では再生骨材の六価クロム溶出抑制技術の検討を行う。具体的には高炉スラグ微粉末の還元効果を用いて再生骨材コンクリートからの六価クロムの溶出を抑制させる。2022年度に入手した再生骨材を対象に二種類の六価クロム抑制を検討する。 一つ目は再生骨材をコンクリートに練り混ぜる前に高炉スラグ微粉末から作製される還元溶液に浸漬させる方法である。高炉スラグ微粉末の還元溶液を用いて再生骨材内の六価クロムを三価クロムに変化させる処理を行う。その処理を行った再生骨材を用いて、再生骨材単体および再生骨材コンクリートを対象に六価クロム溶出試験を行い、溶出抑制効果を確認する。二つ目は高炉スラグ微粉末を置換したセメントによる再生骨材コンクリートの六価クロム溶出抑制効果を検証する。申請者らは以前の研究において高炉スラグ微粉末を25%以上置換することにより、セメント硬化体から溶出する六価クロムを制御できることを明らかにした。再生骨材を使用した場合でも同様に高炉スラグ微粉末を用いて六価クロムの溶出を抑制できると考えている。そこで、実際に高炉スラグ微粉末を用いて再生骨材を用いたコンクリートを作製し、コンクリートからの六価クロム溶出傾向を確認する。実験方法や測定方法については申請者が以前より実施している内容であるため、実験の遂行は可能であると考えている。 上記の実験を行い成果としてまとめ、申請者が所属する学会等の論文に2023年度内に投稿する。
|