2023 Fiscal Year Annual Research Report
複数のシグナル増幅機構で駆動する迅速・高感度な膜透過型マルチイムノアッセイ
Project/Area Number |
22K20476
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥山 浩人 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80961101)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | バイオセンサー / 多孔質膜 / プラズマグラフト重合 / クリック反応 / 分子認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者の周りで行うことができる医療検査、すなわちポイントオブケア検査を充実させていくために、迅速、高感度かつ実践的なバイオセンサーが強く求められている。本研究では、多孔質高分子膜を基盤として用い、酵素反応を介した光学シグナルによる検出だけでなく、細孔内でのポリマー結合生成に基づく圧力シグナルによる分子検出が可能な、高感度な膜型バイオセンサーの開発を目的とする。 光学シグナルによる検出を実現するために、トラックエッチング膜にプラズマグラフト重合とクリック反応を適用することで、捕捉抗体を高効率に導入した。さらに、低ノイズを達成するために、グラフトポリマー骨格内に親水性基を導入した。グラフトポリマー中の親水基比率を制御して系統的調査を行ったところ、10mol%で十分な非特異的吸着に対する優れた抑制能と分子検出能を両立できた。ここで開発された膜型センサーを用いて光学シグナルを介した分子検出を行ったところ、バイオサンプル中においてもpg/mlオーダーの高感度な分子検出が1時間の検査時間で達成できることを実証した。 細孔内重合に基づく分子検出の実証試験では、アビジンをモデル標的分子として用いた。膜型センサー作製のために、プラズマグラフト重合を用いて、レセプターであるビオチンをトラックエッチング膜細孔内に導入した。さらに、増幅素子として末端にビオチン構造を有するpoly(N-isopropylacrylamide)(PNIPAM)を原子移動ラジカル重合で合成した。膜センサーに対し、アビジン透過とPNIPAM溶液の順次透過を行い、その経時的透過圧変化を測定したところ、アビジン濃度に対応する圧力増加が観察された。結果的に、本手法ではng/mlスケールでのアビジン検出が可能であった。以上より、多孔質膜を用いたバイオセンサーにおいて光学シグナルと圧力シグナルによる分子検出を実現することに成功した。
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