2023 Fiscal Year Annual Research Report
IV族二次元原子層を用いたディラック系熱電薄膜の創製
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22K20492
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺田 吏 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00963662)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 薄膜成長 / 層状物質 / ゲルマネン |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、ゲルマネンを含む層状結晶構造を有するEuGe2薄膜の熱電特性測定に向けて半絶縁InP基板上への薄膜成長に取り組んだ。EuGe2膜が形成されていることは確認されたが、InとEu,Geが基板-薄膜界面にて反応し、十分な品質の薄膜を形成することは難しかった。Ge基板上では基板の伝導が影響するため熱電測定は困難だが、十分な品質を有するエピタキシャルEuGe2薄膜に成功している。また、EuとGeの組成比を制御することで層間距離を制御できることを新たに発見した。さらに、形成したEuGe2薄膜を塩酸と反応さ、その反応時間を制御することでゲルマネン層間の元素を制するプロセスを開発した。Euを水素に置換するに伴い、電気伝導特性が金属から絶縁体に変化することを発見した。これは、ゲルマネンの特異な電気伝導を実現しうる要素技術となり得る。本成果について論文にまとめ投稿する予定である。 また、高性能な熱電薄膜の実現に向けて、ゲルマネンとは異なるディラック半金属であるYbMnBi2薄膜の形成と熱電特性評価にも取り組んだ。分子線エピタキシー法を用いてYbMnBi2薄膜のエピタキシャル成長法を開発した。また、その組成比によって室温におけるゼーベック係数が大きく変化することを見出した。 本研究の成果として、多層ゲルマネンの層間元素、組成を制御することで電気伝導特性を制御可能であることを見出した。また、ディラック半金属のエピタキシャル成長法を開発し、その熱電特性を評価した。
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