2023 Fiscal Year Annual Research Report
スピンカロリトロニクスにおけるナノスケール熱伝導の解明と制御
Project/Area Number |
22K20495
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
平井 孝昌 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究センター, 研究員 (30949863)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | スピンカロリトロニクス / 熱伝導 / 時間領域サーモリフレクタンス / 金属人工格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標「磁気スピンを媒介したナノスケール熱伝導の理解及び制御手法の確立」を達成するために、(i)磁場印加可能なナノスケール熱伝導率計測系の確立と(ii)磁性積層構造を基軸とした熱伝導計測の2ステップで研究に取り組んだ。 (i)については、超短パルスレーザーを用いた時間領域サーモリフレクタンス(time-domain thermoreflectance: TDTR)法を電磁石(最大印加磁場: 2 T)または超伝導マグネット内蔵クライオスタット(最大印加磁場: 7 T)と組み合わせた熱伝導率計測系の構築を進めた。室温・電磁石TDTR計測系の構築は完了し、(ii)に移行した。得られた成果の1つに、磁性金属人工格子において、界面数密度が増加するにつれて膜面直方向の熱伝導率が減少することを明らかにし、スピンカロリトロニクス分野で盛んに研究されている横型磁気熱電変換性能上昇に薄膜の人工格子化が有望であることを実証したことが挙げられる[Physical Review Applied 21, 024039 (2024). Editors's suggestionに選定]。また、スピン流の界面透過量に依存して磁性金属の熱伝導率が変化するというこれまでにない熱伝導制御機能の観測に成功するなど、磁気スピンを利用した熱伝導制御の実現に資する複数の有望な結果が得られた。 低温・強磁場環境におけるTDTR計測系の立上げは概ね完了し、強磁場印加のテスト段階に到達している。課題終了時までに、低温・強磁場下計測を行うまでは至らなかったが、レーザー光源を2つの計測系で併用していること、及び室温計測で多くの有望な結果が得られたことを鑑みると充分な進捗であったと自己評価する。
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[Presentation] Spin-current-induced non-equilibrium change in thermal conductivity and interfacial thermal resistance at room temperature2023
Author(s)
T. Hirai, T. Morita, S., Biswas, J. Uzuhashi, T. Yagi, Y. Yamashita, K. Varun, R. Modak, Y. Sakuraba, T. Ohkubo, R. Guo, B. Xu, J. Shiomi, D. Chiba, and K. Uchida
Organizer
第84回応用物理学会秋季学術講演会
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