2022 Fiscal Year Research-status Report
コラーゲン線維構造の音響誘起電磁特性の音響学・組織学的解明
Project/Area Number |
22K20502
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 一陽 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50963964)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | コラーゲン / 定量的組織性状評価 / 音波散乱 / 音響誘起電磁応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
コラーゲンは、しなやかさを組織に与えることで組織の形を保つという重要な役割を担っていると同時に、コラーゲンの配向性の変化やそれによって生じる組織の力学特性の変化は、組織の機能不全の重要なバイオマーカの1つと考えられている。 コラーゲンの力学特性を定量的に評価する技術として、音響誘起電磁応答を指標とした計測が提案されている。これは、超音波照射により電気・磁気分極を誘発し、周辺に生じる電場・磁場を検出する手法であり、コラーゲンの配向性を選択的に可視化できるツールとして臨床現場への応用に期待が寄せられている。 本研究では、これまで技術開発が先行していた音響誘起電磁応答を指標とした生体計測を、スケールが異なる2つの知見(組織学・音響学)と統合して明らかにする。2022年度は、まずコラーゲンの走行を音響的に評価する手法を確立することに注力した。本研究で対象としているコラーゲンは生体内で線維状に走行しており、模式的に表すと円柱形状をとる。これまでの音波後方散乱情報に基づく組織性状解析では、解析の主対象は細胞や脂肪滴など球形に模擬される形状であったため、円柱形状に則した解析手法を考案する必要が生じた。提案手法をコラーゲン組織からの計測信号に適用することで解析精度が向上し、生物学的な組織構造に適した散乱モデルを適用することで散乱情報の推定精度が向上したことが確認された。 また、音響誘起電磁応答の臨床現場への応用に向けた初期検討を行い、その後の要素技術開発につながる課題の洗い出しを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間1.5年のうちの半年間で、本研究における3本柱のうちの1本である音波の散乱情報に基づくコラーゲンの特性の評価プロトコルの確定ができたことから、おおむね順調に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に確立した音響的な解析プロトコルを基に、コラーゲンシートおよび試料を対象としたコラーゲンの特性評価を行い、音響誘起電磁応答が組織学・音響学的にどのような特徴量に起因しているのかを探る。
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Causes of Carryover |
研究計画において、プロトコル開発に時間を費やしたため計測する試料の購入に関する支出および計測機器の購入に関する支出が後ろ倒しとなっている。また、参加を予定していた学会がオンライン開催となり、翌年に繰り越すこととした。
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