2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K20517
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
李 霞 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (50750684)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 自己組織化 / がん治療 / ナノワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、反応物濃度、合成温度、反応時間等を制御することで、様々な物性を有する自己組織化がんワクチンを設計し、ワンステップで合成した。また、自己組織化がんワクチンのサイズ、構造、表面電荷などを走査型電子顕微鏡、X線回折装置、粒度分布およびゼータ電位測定装置によって評価した。免疫関連生体分子の封入効率は、紫外可視近赤外分光光度計、BCAタンパク質アッセイ、LC/MSシステムなどによって評価した。細胞実験においては、自己組織化がんワクチンを抗原提示細胞の培養系に添加し、抗原提示細胞への取り込み及び活性化を共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡、フローサイトメトリー解析、酵素結合免疫吸着測定法等によって評価した。また、担がんモデルマウスを用いて、一部の自己組織化がんワクチンの抗腫瘍免疫効果を評価した。上記の実験を踏まえ、自己組織化がんワクチンの最適形態を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画で想定していたように、形態や粒子サイズが異なる自己組織化がんワクチンをワンステップで合成することに成功した。その過程で、免疫関連生体分子を効率的に封入することを実現した。In vitro細胞実験で、自己組織化がんナノワクチンの各成分が同一の抗原提示細胞によって貪食されたことが、共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡によって実証できた。予備的な動物実験で、遊離の免疫関連生体分子に比べて、自己組織化がんワクチンがより効果的に腫瘍増殖を抑制することを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、動物実験でn数を増やして、自己組織化がんワクチンの抗腫瘍効果をさらに確認する。また、自己組織化がんワクチンの作用機序を明らかにする。具体的には、自己組織化がんワクチンを投与した数日後、所属リンパ節、腫瘍組織、脾臓をフローサイトメトリー法、組織切片化および免疫蛍光染色等によって抗腫瘍免疫に関連するバイオマーカーを解析する。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた、細胞培養試薬等の購入費が少なく済んだため。 次年度使用額が蛍光物質で標識されているモデルがん抗原等の試薬を使用する予定である。
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