2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K20532
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 隼斗 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (10963598)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの有機合成化学は分子を繋ぐことに重点を置いてきた。さらに近年ではC-H官能基化に代表される、既に組みあがった骨格を修飾する形式の反応「骨格修飾型反応」が精力的に研究されている。一方で、既に組みあがった分子骨格を直截的に別の骨格へと変換する形式の反応「骨格編集型反応」の開発は未発展である。本研究では、炭素0価種を1炭素源として利用することで、① 酸素原子置換反応、② 炭素原子挿入反応を柱とする骨格編集型反応の実現を目指した。最終年度では、申請者が開発した環状ホスフィン配位子を持つカルボジホスホラン合成法を利用して、種々の環状ホスフィン含有カルボジホスホランを合成した。合成した環状ホスフィン含有カルボジホスホランは従来のカルボジホスホランとは異なる特異な反応性を示すことを明らかにした。この環状ホスフィン含有カルボジホスホランを用いて実際に骨格編集型反応を検討したところ、酸素原子が炭素原子に置き換わった目的物が生成していることをGC-MSによって確認した。また、異なる種類の炭素0価種等価体としてN-ヘテロ環状カルベンを用いた検討もおこなった。その結果、N-ヘテロ環状カルベンが炭素原子等価体として機能し、α,β-不飽和アミドへの炭素原子挿入反応が進行することを見出した。これによって一段階でα,β-不飽和アミドからγ-ラクタムへの変換反応が可能になった。この成果はJournal of American Chemical Society誌に掲載された(DOI: 10.1021/jacs.3c07052)。
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