2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K20533
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐々木 紀彦 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (30962328)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 超分子集合体 / 糖鎖 / 超分子重合 / 超分子ポリマー / 精密重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖から超分子集合体を構築するための前段階として、まず、分子間相互作用部位であるフルオロアルキル基を導入した単糖モノマーを合成した。得られた単糖モノマーを用いて超分子集合体の合成を検討した。単糖モノマーとして2位がフタルイミド基およびアジド基が置換された化合物を使用した。糖分子の3、4、6位に対して選択的にフルオロアルキル基を1つまたは2つ導入し、相互作用部位の導入位置が分子の自己集合挙動に与える影響を調べた。メチルシクロヘキサン溶液に7種類のモノマー分子を溶解させ、加熱した溶液をシリコン基板上に塗布し、自己集合の検討を行った。走査型電子顕微鏡観察の結果から、フルオロアルキル基の導入位置や2位の置換基が超分子集合体の形態に大きく影響を与えることを見出した。具体的には、粒子状、ファイバー状、リボン状の超分子集合体が得られた。また、SEM-EDSマッピング測定を行い、フルオロアルキル基が自己集合に及ぼす影響を確認した。超分子集合体を塗布したシリコン基板は撥水性を示すことを見出した。この撥水性は超分子集合体の形状に依存し、変化することが示唆されている。さらに、超分子集合体を形成していない場合では同様の撥水性を示さないことが確認されており、超分子集合体の構造に由来した機能の発現が示唆されている。現在までに単糖モノマーを用いた超分子集合体の合成とその撥水性を評価することができたが、オリゴ糖をモノマーとして用いることや超分子集合体の精密合成へと展開していくことが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記載した通り、単糖モノマーを用いた場合における超分子集合体の合成に成功した。また、分子間相互作用の導入位置が超分子集合体の形態に影響を与えることを見出したため、今後はモノマー構造をオリゴ糖に拡張する予定である。糖をモノマーとした超分子集合体の形態を分子デザインにより制御できつつあるため、おおむね予想した通りに研究は進んでいるが、精密な超分子重合への展開が次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
下記の三つの項目について検討を行う予定である。 1)糖鎖を用いた超分子集合体の合成 : 現在は、単糖モノマーを用いた場合の超分子集合体の合成に成功している。今後はより分子デザインが多様になるオリゴ糖を用いて、超分子集合体の合成を検討する。具体的には糖鎖合成中での超分子重合を行うために、糖鎖長が自己集合に与える影響を調査する予定である。 2)糖を用いたリビング超分子重合法の開発 : 現在、単糖モノマーからファイバー上の構造を構築できる条件を基に、糖からなる超分子集合体のリビング超分子重合の検討を行う。 3)糖鎖自動合成中での超分子集合体の合成 : 糖鎖を合成している反応場での超分子重合の検討を行う。上記の検討で調整した超分子重合の開始剤を糖鎖合成反応場に添加することで、精密な超分子重合の達成を目指す。
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