2022 Fiscal Year Annual Research Report
Spirofluorene Based Rotaxanes: Syntheses and Applications as Functional Materials
Project/Area Number |
22K20543
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
Rashid Showkat 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 研究員 (90961847)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2023-03-31
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Keywords | ロタキサン / 動的挙動 / NMRスペクトル / スピロフルオレン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では軸構造と環構造からなるインターロック化合物の1種であるロタキサンの合成とその構造、動的挙動に関する研究を行った。具体的には環構造に対称性の低いスピロフルオレン構造、軸構造にフッ素原子を導入することにより、対称性の低下した[2]ロタキサンを合成した。また、その動的挙動を精査するため、環構造の大きさが異なるロタキサン、軸構造の長さが異なるロタキサンを合成した。 次に、合成したロタキサンの構造とその動的挙動について1H NMR、19F NMRスペクトルを用いることにより検討した。対称性の低いスピロフルオレン構造を有するロタキサンにおいては、その非対称性を反映したスペクトルデータが得られた。すなわち、ロタキサンの軸構造の右側と左側は環構造のスピロフルオレン部位のために非対称化し、2組のシグナルが観測された。1H NMRスペクトルでは多数のシグナルが観測されるが、19F NMRスペクトルではシグナルが2つのみ観測されるため、解析が容易であった。また、軸分子がロタキサンへと変換されることにより、シグナルの高磁場シフトが観察され、環構造が小さい場合にはその変化量が大きくなることが判明した。さらに軸構造の長さが異なるロタキサンについてスペクトルを解析したところ、ロタキサンにおける環構造の局在化が起こっていることを明らかにした。 以上の結果はロタキサンにおいて、特に大きな相互作用が存在しない場合でも環構造が局在化することを明らかにするものであり、インターロック化合物の動的挙動に関して重要な知見を与えるものである。今後この知見を活用し、ロタキサンの動的挙動の制御を実現につなげていきたい。
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