2023 Fiscal Year Annual Research Report
液中開口型近接場光学顕微鏡の開発とそれを用いたプラズモニック触媒特性の解明と制御
Project/Area Number |
22K20544
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷川 誠樹 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (50962487)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | プラズモン / プラズモニック触媒 / 化学反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
貴金属ナノ構造体に励起されるプラズモンを用いて化学反応を促進させるプラズモニック触媒は,エネルギーの効率的利用の観点から注目を集めている。1辺が1マイクロメートル程度の金プレートには,複数の異なるプラズモンモードが可視域から近赤外域にかけて広帯域に共鳴励起されることが知られており,プラズモニック触媒への応用が期待される。本研究では,貴金属ナノ構造体に励起されるプラズモンの共鳴特性とプラズモニック触媒特性の関係を明らかにすることを目的とする。液中で動作する近接場光学顕微鏡を開発し,それを用いてプラズモニック触媒として働く貴金属ナノ構造体の表面における電子状態を可視化することにより,触媒特性との関連を明らかにする。また,プラズモンの選択励起を利用してプラズモニック触媒を制御することを目指す。2023年度は,金ナノプレートにおける禁制プラズモンモードの選択励起に取り組んだ。偏光を制御した近赤外パルス光を試料に照射し,試料からの非線形発光を計測した。非線形発光励起像の空間特性が入射偏光に依存することを明らかにした。また,電磁気学計算との比較から,観測された空間特性の違いは,禁制プラズモンモードの選択励起に由来することを明らかにした。 研究期間を通じて,液中で動作する近接場光学顕微鏡の開発を実現することはできなかった。しかし,2022年度に取り組んだ金ナノプレート近傍におけるププラズモニック触媒反応の空間特性の可視化,今年度に取り組んだ入射偏光制御による禁制プラズモンの選択励起で得られた結果は,当初目的としていたプラズモンの選択励起を利用したプラズモニック触媒の制御の実現可能性を示す。
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