2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K20545
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
榊原 陽太 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (60963220)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 第4級アンモニウム塩 / 光触媒 / ラジカル反応 / 環化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、窒素原子上が不斉点となっている不斉第4級アンモニウム塩の選択的合成に向けた第一歩として、アルケニルアンモニウム塩へのアルキルラジカルの付加が進行するかの検証から開始した。その結果、アンモニオ基のα位に芳香環が置換されたアルケニルアンモニウム塩を基質として用いることで、ハロゲン化アルキルより発生させたアルキルラジカルが効率的に付加反応を起こすことを見出した。本反応には様々な構造をもつハロゲン化アルキルが適用可能であった。続いてこの知見を基に、ジブロモメタンを反応剤として用いるアルケニルアンモニウム塩のシクロプロパン化反応の検討を行った。本反応に関しても、光触媒とハロゲン引き抜き剤であるアミのシラン化合物を用いることで想定通り目的の反応が進行した。これにより、従来法では合成が困難であったアンモニオ基に直接環構造が置換している第4級アンモニウム塩の合成を達成した。 これらの反応開発と並行し、不斉第4級アンモニウム塩を合成するための原料である二つのアルケニル基を有するジアルケニルアンモニウム塩の合成ルートの検討も行った。種々検討を行った結果、目的のジアルケニルアンモニウム塩を合成可能であることが明らかになった。 以上のように、2022年度は不斉アンモニウム合成を達成するための基盤となる反応の開発と原料合成法を確立することができたため、2023年度は実際に不斉アンモニウム塩の合成に着手する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は目的の環化反応の一つである、ジブロモメタンを反応剤とするアルケニルアンモニウム塩のシクロプロパン化反応の開発に成功した。また、不斉アンモニウム合成の原料となるジアルケニルアンモニウム塩の合成ルートも確立した。これらにより2023年度には不斉アンモニウム合成法の確立に注力できるため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はこれまでに開発したアルケニルアンモニウム塩のシクロプロパン化反応とヒドロアルキル化反応を、ジアルケニルアンモニウム塩へと適用することで不斉非対称化による不斉アンモニウム塩合成を目指す。はじめはキラルリン酸などのキラルな水素結合受容体を反応系へと添加することでジアルケニルアンモニウム塩の周りに不斉環境を構築し、窒素原子上の不斉の制御を目指す。このアプローチで不斉の制御が困難であった場合には、ボレートやホスフェートといったキラルなアニオンをジアルケニルアンモニウムの対アニオンとすることで不斉環境を構築する手法も検討する予定である。
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