2022 Fiscal Year Research-status Report
一電子酸化/還元を鍵とするオンデマンド型酸/塩基触媒システムの開発
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22K20546
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
平田 翼 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (30962641)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 触媒 / 酸 / 塩基 / 酸化 / 還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、共触媒を用いて反応系中でオンデマンドに主触媒を活性化することで、取り扱いや合成が容易かつ高活性な触媒を開発すること及び既存の触媒では不可能であった触媒反応を実現することを目的としている。当初の計画に基づいて本年度は、初めに、オンデマンドで活性化できる酸/塩基触媒のデザイン及びその合成を行った。酸/塩基の活性はその官能基の電子密度に依存するため、光酸化還元触媒を共触媒として用い一電子酸化還元を介して酸/塩基活性を制御することを考えた。具体的には、還元されやすい骨格にブレンステッド塩基性を発現する部位を組み込んだ構造の触媒および酸化されやすい骨格にルイス酸性を発現する部位を組み込んだ構造の触媒の合成を計画した。さらに、適切な官能基を導入することで、触媒活性向上のための酸化還元を促進させることも考慮した。実際にそれらの合成に着手したところ、ブレンステッド塩基触媒の合成が難航したが、ルイス酸触媒に関しては問題なく合成することができた。しかしながら、その機能を発揮できる反応系の発見には至っておらず、今後も継続予定である。また、ルイス酸を共触媒として用いて還元力の乏しい光酸化還元触媒に作用させることで、光酸化還元触媒の電子密度を低下させ、還元力を向上させることにも取り組んだ。α-アミノラジカルの電子不足オレフィンへの付加反応において、入手が容易であるものの酸化力に乏しい光酸化還元触媒をルイス酸を用いて活性化することができることを見出した。ラジカル付加反応において光酸化還元触媒を単独で用いると低収率であったが、ルイス酸を共触媒として添加することで目的の反応が加速された。現在は、反応条件の最適化に取り組んでおり、今後も継続予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づいて本年度は(1)オンデマンドで活性化できるブレンステッド塩基触媒およびルイス酸触媒を用いた触媒系の開発、(2)ルイス酸を用いてオンデマンドで活性化できる光酸化還元触媒を用いた触媒系の開発に取り組んだ。 (1)に関しては当初設計したブレンステッド塩基触媒の合成が難航した。一方で、ルイス酸触媒に関しては問題なく合成することができた。しかしながら、その機能を発揮できる反応系の発見には至っておらず、今後も継続予定である。 (2)に関しては、入手が容易であるものの酸化力に乏しい光酸化還元触媒をルイス酸を用いて活性化することができることを見出した。ラジカル付加反応において光酸化還元触媒を単独で用いると低収率であったが、ルイス酸を共触媒として添加することで目的の反応が加速された。現在は、反応条件の最適化に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
オンデマンドで活性化できるルイス酸を用いてオンデマンドで活性化できる光酸化還元触媒の機能を発揮できる反応系の探索を継続する。また、ルイス酸を用いてオンデマンドで活性化できる光酸化還元触媒を用いたラジカル付加反応の条件最適化および基質一般性の検討を行った後に、本触媒系を他の反応に応用できないかの検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究の進度の都合で、使用する予定であった消耗品が次年度の購入でよくなったため。使用用途に関しては、主に試薬などの消耗品に使用する予定。
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