2022 Fiscal Year Research-status Report
光駆動分子モーターによる金属錯体からの円偏光発光発現・制御
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22K20552
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 良順 東北大学, 理学研究科, 助教 (60963981)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 発光制御 / 分子マシン / ジピリン亜鉛錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、分子モーターの単一方向回転と金属錯体のハイブリッド化合物を作製し、金属錯体からの発光特性(発光強度や円偏光発光など)を分子モーターの回転運動によってコントロールすることを目標としている。 本年度は、複数の光機能を有する亜鉛錯体分子モーターの合成に取り組んだ。まずは多段階有機合成を経てブロモ基を有する第二世代分子モーターを合成し、ホルミル化を行った。その後、ピロールとの縮合反応によって、分子モーターコアに光機能を持つジピリンを修飾した。これを配位子として用いて有機溶媒中での酢酸亜鉛との混合により、二つの分子モーターを持つビスジピリナト亜鉛錯体の合成に成功した。 得られたジピリン錯体分子モーターについて、その回転運動に関する予備測定を行った。トルエン溶液を用意し光照射を行うと、分子モーター部位の光異性化反応に対応する紫外可視吸収スペクトルの変化が観察された。この際、明確な等吸収点が現れていたことから光照射によって分子モーター部位の光異性化のみが進行し、分解等の望まない光プロセスが進行していないことが示唆される。この結果は、今後ジピリン錯体の物性を調査していくうえで化合物の安定性を支持するものである。 次年度は合成した亜鉛錯体の発光特性の制御に取り組む。光照射によってらせん性を変化させる分子モーターとの分子内相互作用を利用して、発光強度の制御や円偏光の発現およびその符号の光制御に挑戦していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来の計画に従って分子モーターを有するジピリン亜鉛錯体を合成することができた。その物性調査についても予備的な測定を行えたため、おおむね順調に研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は分子モーターが修飾されたジピリン分子のスケールアップ合成を行い、その亜鉛錯体の物性、特に円偏光の制御を含む発光特性をより詳細に調査していく。また、配位子間の架橋にも挑戦し、光照射によって金属錯体コアに機械的刺激を与え発光特性を変化させる予定である。
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Causes of Carryover |
分子モーターの合成に必要な試薬の購入と合成設備の改善に予想以上に時間がかかってしまい、目的とする化合物の調製が遅れてしまった。そのため化合物の詳細な物性調査(光学分割や発光測定等)を次年度に行うこととした。次年度使用額はそのためのカラム購入、測定装置使用費として用いる予定である。
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