2022 Fiscal Year Research-status Report
Atomically Precise Synthesis of Iron-Group Metal Nanoclusters to Probe the Origin of Superparamagnetism
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22K20558
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
檜垣 達也 京都大学, 化学研究所, 助教 (70964881)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 金属クラスター / クラスター錯体 / 鉄族元素 / 超常磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は鉄族金属クラスターの精密合成・構造決定・磁性の評価により、超常磁性状態発現のメカニズムについて深く理解することを目的としている。この目的を達成するため、初年度に当たる本年度は、クラスター合成の前駆体となるかさ高い配位子を有する低配位Fe(II)、Co(II)またはNi(II)錯体を合成した。それぞれの錯体は既報に従って合成し、昇華、蒸留、または溶液からの再結晶により精製した。得られた化合物はNMRなどの分光測定により同定を行った。これらの反応前駆体を、配位子の存在下でホウ素試薬であるピナコールボランと反応させることで、目的物である配位子保護クラスターの合成を試みた。前駆体と配位子の比や反応溶媒の種類、そして反応温度などの条件を最適化した結果、目的化合物であるクラスターが再現良く結晶として得られた。合成したクラスターについては、X線構造解析により幾何構造を決定し、質量分析法により化学組成を確認した。合成条件を検討する中で、鉄やコバルト錯体では気泡の発生と共に速やかに反応の進行が確認された一方で、ニッケル錯体については一部の前駆体が未反応のまま残ることが判明した。その結果、ニッケル錯体を用いた反応では収率が著しく低く、反応条件をさらに改良し収率を向上する必要がある。また、いくつかのクラスターについては、目的物のクラスターが単核錯体もしくは数個の金属原子からなる小さなクラスター錯体とのイオン対として得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉄もしくはコバルト錯体を前駆体として用いた反応においては、本研究の目的であるクラスターの合成を達成したが、一方で、ニッケル錯体を用いたクラスター合成については、クラスターの生成を確認したものの収率が低く、反応条件の更なる改良が必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ニッケル錯体を用いたクラスター合成については、ピナコールボランに代わるホウ素試薬としてBH3-THFやカテコールボランを使用することで、未反応の錯体が残らないよう反応条件を最適化し収率の向上を目指す。また錯体とのイオン対として得られたクラスターについては、溶液中でイオン交換を行うことで、有機分子など金属原子を含まない化合物とのイオン対として単離する。単離されたクラスターについては順次磁性を測定する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は合成に必要な試薬の大部分について、所属研究室が保有しているものを利用できたため、試薬の購入に必要であった予算を次年度へ繰り越すことになった。また、参加を予定していた学会がオンライン開催となったため、使用する予定であった旅費の一部を繰り越すことになった。これらの経費は、クラスター合成に注力する時間を捻出するために、これまで自前で合成していた化合物(例:配位子)を市販品に切り替える、もしくは、合成実験を簡略化するために必要な機器を購入するなどして活用し、次年度の実験研究を加速させる。
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Research Products
(2 results)