2023 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素還元触媒へ向けた金属/有機ハイブリッド電極の電気化学的自己組織化
Project/Area Number |
22K20562
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
津田 勇希 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80964189)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 電気化学的CO2還元 / 電極触媒 / 無機/有機ハイブリッド材料 / 電解析出法 |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素のエネルギー資源化へ向け、効率的に二酸化炭素還元反応が進む高性能な触媒の開発が必要である。銅は二酸化炭素を有用な資源である炭化水素に電気化学的に還元することが可能な唯一の金属であることから注目されている金属種ではあるが、CO2電解過電圧が高いことと電解生成物の選択性が低いことが課題となっている。本研究では、これらの課題の解決に向け、元来CO2電解活性が高い金属と電解反応中間体の安定化が期待できる高分子とを複合化した金属/有機ハイブリッド電極触媒の開発に取り組んだ。炭化水素を生成することが可能な銅を無機部として、二酸化炭素を適度に吸着し、カチオン密度が高いことから高い反応性が期待できる、ルミノールとメラミンを有機部として選定した。ルミノールとメラミンを基板であるカーボンペーパー上に電解重合させることで高分子化し、基板との接触の良さと高い導電性を実現した。この高分子膜の上に金属銅を電解析出させ、金属/有機ハイブリッド触媒を得た。それぞれの有機物の高分子化は、硫酸水溶液中で測定したサイクリックボルタモグラムのレドックスピークで確認し、高分子上の銅の析出はXRDパターンで確認した。ポリルミノール上の析出物は金属銅のみであったのに対し、ポリメラミン上の析出物は金属銅度亜酸化銅の混合物となっていた。これは、ポリメラミンが酸素還元触媒として機能し、銅の析出と同時に水溶液中の酸素を還元し、生じた水酸化物イオンが銅イオンと反応することで亜酸化銅が析出したと考えられる。これらの電極についてCO2電解能を調べた。カーボンペーパーおよび、カーボンペーパー上に各有機物を重合した電極は水素のみしか生成しなかったが、カーボンペーパー上に銅を析出した電極では、ファラデー効率55%でメタンを生成した。しかし、高分子膜上に銅を析出させた電極では、水素のみしか生成しなかった。
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