2023 Fiscal Year Annual Research Report
線虫共生微生物が生産する微生物間シグナル分子の存在意義の解明とその産業利用
Project/Area Number |
22K20569
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
今井 優 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (20964042)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 線虫共生微生物 / シグナル分子 / 放線菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物はそれらが生産する生理活性物質を用いて互いにコミュニケーションを取っている。これら微生物シグナル分子を発見し, 有効利用することができれば, 微生物における物質生産や, 特定の遺伝子の発現調節につなげることが期待できる。近年, Photorhabdus 属細菌や Xenorhabdus 属細菌などの線虫共生微生物が新しい生理活性物質の探索源として着目されている。そこで本研究では, 線虫共生微生物の単離およびライブラリー化と, これらを探索源とした微生物シグナル分子の探索研究を実施した。最終年度は, 初年度に引き続き, 環境中から線虫共生微生物の単離に取り組んだ。これまで長野県内の 4地点からそれぞれ 67 菌株, 14 菌株, 33 菌株および 25 菌株の線虫共生細菌を分離し, ライブラリー化している。また微生物シグナル分子の探索においては, Xenorhabdus szentirmaii DSM 16338, Xenorhabdus stockiae DSM 17904, および Xenorhabdus mauleonii DSM 17908 の寒天培養物中に, 放線菌 Streptomyces coelicolor A3(2) の色素性抗生物質アクチノロージンの生産を抑制する化合物が存在することを見出した。酢酸エチルにより寒天培地から活性物質を抽出し, HPLC 分析に供することで, 現在までに活性物質を単離することに成功している。今後は, 質量分析および構造解析を進めるとともに, 同化合物がいかにして放線菌の抗生物質生産を調節しているのかを明らかにする。
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